2016 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of anesthetics and opioids on the Wnt/bsta catenin pathway
Project/Area Number |
15K15571
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福田 和彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (90199224)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 麻酔薬 / グリア細胞 / 低酸素 / エリスロポイエチン / Wnt蛋白 |
Outline of Annual Research Achievements |
Wnt蛋白は中枢神経系の発達における様々な段階で重要な役割を果たしている。Wnt蛋白が活性化する情報伝達系には、Wnt/βカテニン経路とβカテニン非依存性経路(Wnt/Ca2+経路、平面細胞極性経路)があるが、Wnt/βカテニン経路の解明が最も進んでいる。これまでにWnt/βカテニン経路は、細胞の遺伝子発現の調節、細胞増殖や分化に影響を及ぼし、神経系の発生および様々な中枢神経系の病態、すなわち脳虚血、精神疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、てんかんなどに関与することが報告されている。 神経障害性疼痛の成立においてマイクログリアにおいてWnt/βカテニン経路が活性化すること、Wnt/βカテニン経路の抑制によって神経障害性疼痛の成立が抑制されることが報告された。しかし、神経障害性疼痛の治療に使用される薬物のWnt/βカテニン経路に対する影響は不明である。一方、幼少期における全身麻酔薬投与の副作用として注目されている神経毒性には、神経発生過程に対する薬物の影響が関与する可能性があると考えられているが、詳細な機序は不明である。神経発生に重要な役割を果たすWnt/βカテニン経路が全身麻酔薬の神経毒性に関与する可能性については、ほとんど注目されていない。 本研究では、静脈麻酔薬ミダゾラムの作用によりアストロサイトにおいて低酸素により誘導されるエリスロポイエチンの産生が低下すること、この現象にはミダゾラムによる低酸素誘導性因子の核内以降の抑制が関与することを明らかにした。
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