2016 Fiscal Year Research-status Report
プロポフォール注入症候群発症の機序解明とカルニチンによる抑制効果
Project/Area Number |
15K15573
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
森山 孝宏 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (20593651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 正久 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50264403)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プロポフォール / 脂肪酸代謝 / L-カルニチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では当初高脂肪食摂取ラットを用いて脂肪酸代謝負荷が高まった状態でのプロポフォールの脂肪酸代謝への関与を検討していた。しかしながら高脂肪食ラットは高血糖やアミノ酸代謝異常も併発するためプロポフォールの単独作用を明らかにすることができなかった。したがって16時間絶食後のラットを用いて研究を行った。絶食後のラットにプロポフォールを投与すると本来飢餓状態で利用される遊離脂肪酸の血中濃度が増加し、細胞内への取り込みが障害されていると考えられた。また低血糖やアミノ酸濃度の低下も同時にみとめられ、エネルギー基質として糖・アミノ酸への依存度が上昇している可能性が示唆された。臨床的にも重症患者や小児では糖・アミノ酸といったエネルギー基質利用が障害されていたりまたは未熟であることが多いため、このプロポフォールによる脂肪酸代謝抑制がプロポフォール注入症候群(PRIS)の一因となっている可能性が考えられた。 次に長鎖脂肪酸をミトコンドリア内へ輸送する作用を有するL-カルニチンを投与することでプロポフォールによる脂肪酸代謝抑制が改善するかを検討した。カルニチン投与によりプロポフォール単独投与群と比較して血中遊離脂肪酸濃度は有意に低下しており、血糖値・アミノ酸低下も抑制された。 臨床的に重症患者や小児患者では糖・アミノ酸代謝が抑制されたり機能が低下していることが多いため、脂肪酸の有効利用が阻害されることでPRISが発症する一因となる可能性が今回の研究で示唆された。又カルニチンにより脂肪酸代謝を促進し利用効率をあげることでPRIS発症を予防できる可能性も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は当初カルニチン欠乏マウスを用いてプロポフォールによる脂肪酸代謝抑制に対するカルニチンの効果を検討する予定であった。しかしながらマウスへのプロポフォール持続腹腔内投与では麻酔効果が安定せず、覚醒や死亡する症例が見られた。従ってマウスの実験は断念し、ラットを用いたプロポフォール持続静脈内投与の実験を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は今後培養細胞を用いてミトコンドリアの酸素消費量を測定することで、プロポフォール投与時のエネルギー基質の利用効率を検討していく。同時に脂肪酸利用がプロポフォールにより抑制された時にカルニチン投与によってどのように利用効率が変化していくかを検討することでPRIS発症防止の可能性を検討していく。
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Causes of Carryover |
当該年度は既存の実験装置、試薬等で実験可能であったため支出は抑えられた。 次年度は新たに培養細胞系の実験を開始するので、実験キット、試薬類の購入を予想されるため次年度使用予定とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
培養細胞のミトコンドリアによる酸素消費量を測定する実験を行う予定である。 測定装置であるフラックスアナライザーFXpは現有しているが、専属の測定キット・試薬を購入予定である。
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