2017 Fiscal Year Annual Research Report
In vitro disease modeling of malignant hyperthermia using patient-derived iPS cells
Project/Area Number |
15K15574
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森崎 浩 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (60182226)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 悪性高熱症 / iPS細胞 / 興奮性神経細胞 / Neurogenin2 / 麻酔薬 / カルシウムイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
今回の研究では、麻酔を契機として発症する致死的疾患である悪性高熱症の病態について、疾患特異的iPS細胞を用いて解明することが目的である。最終年度である平成29年度は、前年度まで表現型検討をしてきた骨格筋に加え、分化誘導させた神経細胞に対しても病態解析を行った。分化誘導方法は、転写因子Neurogenin2遺伝子の一過性発現による興奮性神経細胞を作出するものである。通常状態の細胞内Ca2+濃度は、健常対照群と悪性高熱症患者群とで、その変化量に大きな違いが認められなかった。一方、既存の麻酔薬、カフェイン、または細胞内カルシウム濃度に影響を与えうる薬剤処理を行ったところ、一部の薬剤で、健常対照群に比べて悪性高熱症患者群細で、その濃度上昇が強くなる傾向が確認された。これは、遺伝子変異リアノジン受容体を介する小胞体からのCa2+放出速度亢進が原因ではないかと考えられる。しかしながら、電気生理学的な解析として多点電極アレイを用いて、細胞膜電位の変化を検証したところ、疾患と健常とで大きな変化は認められなかった。また、上記の細胞活動に関する機能的な解析の他に、リアノジン受容体の発現や局在解析として、免疫染色を行ったところ、悪性高熱症患者群においては、骨格筋および神経細胞の両方で顆粒様のリアノジン受容体抗原抗体反応を呈していた。 本年の結果においては、疾患患者iPS細胞ライン数が少ないため、十分な疾患病態の評価には至らないものの、細胞内Ca+濃度やリアノジン受容体の細胞内発現パターンなどは今後の疾患解析に向けて着目に値する解析項目であると考えられる。また、本疾患の麻酔薬をはじめとする種々の病的薬剤応答について、骨格筋だけでなく、脳神経系に対してもその影響を考慮する必要性が示唆された。
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