2015 Fiscal Year Research-status Report
非侵襲性着床前遺伝子スクリーニングNIPGSをめざす探索研究
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15K15594
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
生水 真紀夫 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (30226302)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 産婦人科学 / 産科学 / 出生前診断 / 体外受精胚移植 / 流産 |
Outline of Annual Research Achievements |
胚盤胞の非侵襲性着床前遺伝子スクリーニングNIPGSの開発をめざして、胚盤胞培地中のbhCG 値と染色体核型の関連を検討した。血清bhCG値測定用に市販されているEIAキットを改変して測定系の確立と評価を行った。その結果、培養後の培地中のbhCG値を、10倍希釈検体を用いて自動測定器(TOSOH AIA-2000)を用いて再現性良く定量する測定系(0.1-50 mIU/blastocyst)を確立した。体外受精胚移植に用いられた胚盤胞培地検体(n=595)を収集し、bhCGの測定を開始した。これらのデータについての染色体情報は、全例の妊娠終了まで得られないため、本年度は妊娠成立、流産、妊娠初期血中bhCG値をサロゲートのアウトカムとして解析を実施した。培地中のbhCG値は、0-11.1 mIU/blastに分布し、中央値0.69で高値側広範囲に外れ値が認められた。これらの外れ値を示した検体では妊娠成立率が低く、bhCG 異常高値が染色体異常と関連するとの仮説に矛盾しないものであった。主成分分析により、胚盤胞培地bhCG値情報は、妊娠初期血中bhCG値や母体年齢とは異なる情報を含むことが示された。また、胚発育速度や栄養外胚葉細胞数とともに固有の胚発生情報を含むことが示された。これらの臨床検体のアウトカム情報(染色体情報)を継続して収集し、次年度に解析を行う準備を進めた。さらに、培地情報の検索を進めた結果、α-fetoproteinも有用な情報となり得る可能性が示唆されたため、次年度の測定に向けて新たにα-fetoprotein高感度測定系の開発を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検体も順調に収集でき、目標の検体数に達している。大部分の検体(n=596)でのbhCG値測定を終了することができた。測定系についての検討も終了し、測定系の信頼性も確認している。現在は、体外受精胚の移植およびその後の妊娠帰結(流産例および出生後染色体異常が疑われた児については染色体分析結果)を待っている段階にある。研究期間内にすべての胚についての帰結が判明しない可能性がある(すなわち胚移植に至らない胚が生じる)こと、また良好胚盤胞に達しないために移植に至らない胚が50%程度発生する)ことから検体収集を継続して実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、本年度に検体を収集した胚盤胞の臨床成績(妊娠、染色体異常)を収集し、計画どおりに胚盤胞情報からの予測可能性について統計学的に明らかにする。 また、α-fetoproteinが染色体異常の予測精度を高める可能性があることを本年度新たに見いだしたことから、α-fetoproteinの高感度測定系の開発に着手した。この測定系を用いて、これまでに収集した検体を含めて28年度に測定を行い、2値測定による予測精度の向上を実証することを計画している。
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Causes of Carryover |
残額が少額であり、適切な物品購入ができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度予算とあわせ消耗品購入に充当する。
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Research Products
(6 results)