2016 Fiscal Year Research-status Report
心音信号を用いた胎児心拍数細変動解析装置の開発と評価
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15K15600
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
玉村 千代 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 医員 (70640142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西島 浩二 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (80334837)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分娩監視装置 / 胎児心拍細変動 / 超音波ドプラ信号 / 胎児心音 / 離散ウエーブレット変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎児の健康状態を正しく評価するために、分娩監視装置から出力される超音波ドプラ心音を用いて、胎児の瞬時心拍数(心電図のRR時間に相当)の細変動を解析する技術が期待されている。この技術を確立するためには、心電図法による計測と同程度のRR時間の精度が必要になってくる。しかしながら、現状では胎児の超音波ドプラ心音には、胎児の心音以外に多様なノイズ(胎児の運動音、母体の血流音、母体の内臓運動音、外部からの雑音など)が含まれるために、正確なRR時間を得ることが難しい。 音声信号や画像信号のノイズ除去に、離散ウエーブレット変換による多重解像度解析を用いる方法が有効であることが知られている。本研究では、MATLAB(The MathWorks, Inc.)上の音響処理技術(離散ウエーブレット変換の多重解像度解析)を用いて、分娩監視装置から出力される胎児心音のノイズ除去実験を行った。 その結果、次のことが明らかとなった。(i)分娩監視装置からの胎児心音のスペクトルは、200 Hz付近であった。(ii)サンプリング周波数44.1 kHz の胎児心音データに対しては、レベル9の解像度(レベル9は約40 Hzのフィルタリング)が限界であった。(iii)これまでのノイズ除去実験の結果では、マザーウエーブレットの種類(dbやcoifなど)による効果の差異は見られなかった。(iv)離散ウエーブレット変換の多重解像度解析によるノイズ除去では、主に高周波成分ノイズの除去が対象であるために、低周波域のノイズ除去は不十分であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本学工学部との共同研究として、福井大学医学部附属病院における胎児心音信号の抽出実験はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
離散ウエーブレット変換の多重解像度解析によるノイズ除去は、主に高周波成分ノイズの除去が対象であるため、ミリ秒単位の精度で、RR 時間を測定することは出来なかった。鋭いピーク値の心音波形を得るにはさらなる処理を加える必要がある。今後は離散ウエーブレット変換による多重解像度解析に最大エントロピー法などを加えていく。また、低周波域のノイズ除去の方法についても検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
分娩監視装置の超音波ドプラ信号受信データの解析を行っているが、受信信号が途切れることにより解析エラーが生じるという問題に直面した。この問題の解決法を探るための追加実験を計画したことにより、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ドプラ信号の送受信トランスデューサー端子から直接信号を計測する追加実験に使用する機器の新規購入当てる。
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Research Products
(8 results)