2015 Fiscal Year Research-status Report
非侵襲性次世代型経鼻噴霧タイプ子宮頸癌予防ワクチンの開発
Project/Area Number |
15K15605
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
河野 光雄 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00234097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 務 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40252358)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | PIV2 / HPV / 子宮頸癌 / 弱毒生ワクチン / 液性免疫 / 細胞性免疫 / 非侵襲性 / 経鼻投与 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本国内において、ワクチン接種後の慢性疼痛等の副作用により、世界中で有効性の確認されている現行のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(子宮頸癌ワクチン)接種の「積極的な勧奨」の一時中止が決定されたことは周知である。 本研究においては、現行のHPVワクチンに代わる副作用の少ない非侵襲性の新規子宮頸癌ワクチン開発を、ゲノム上のM遺伝子2か所にストップコドンを導入しM蛋白発現を欠失させた非増殖型ヒトパラインフルエンザ2型ウイルス(hPIV2ΔM)ベクターを用いて検討した。 実際には、HPV感染予防ワクチンとして、リバースジェネティクス法を用いて国内での感染率の最も高いHPV16型の外郭蛋白遺伝子であるL1ならびにL2遺伝子を搭載したhPIV2ΔM/L1ならびにhPIV2ΔM/L2を作製した。また同様に、子宮頸癌治療ワクチンとして、癌誘発遺伝子として知られている同E6ならびに同E7遺伝子を搭載したhPIV2ΔM/E6ならびにhPIV2ΔM/E7と、細胞性免疫(CTL/Th1)を誘導する抗酸菌由来のAg85B遺伝子を搭載したhPIV2ΔM/Ag85Bの作製を試みた。しかしながら、現在までのところhPIV2ΔM/E6については作製できていない。また、上記の作製できた3種のHPVワクチンにおいて、hPIV2ΔM/L2およびhPIV2ΔM/E7については、Balb/cマウスに経鼻投与し、それぞれのHPV抗原に対する抗体産生等の有無を確認中であり、hPIV2ΔM/L1についてはマウスの投与に必要なウイルス量を回収中である。 さらに、現在、作製したワクチンの子宮頸癌治療効果を解析するための評価系作成のため、それぞれのHPV抗原ならびに上記の全てのHPV抗原を構成的に発現させたマウス由来の細胞株の樹立を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
子宮頸癌予防・治療ワクチンベクター用コンストラクト作製において、発注した人工合成遺伝子(HPV16-L1、-2、-E6、-E7)の納期の遅れたこと。さらに、それぞれの抗原遺伝子を挿入したhPIV2ΔMプラスミドの収量の低さ等によりワクチンベクターの作製が遅れた。 これら抗原を挿入したワクチンベクターの収量については、種々のコンピテントセルを模索し、トランスフォームの際にNEB stable competent cellを使用することで安定した収量が得られるようになった。 また、要因は定かではないが、リバースジェネティクス法を用いたリコンビナントウイルス作製においても、これまでに作製した他の抗原を挿入したhPIV2ΔMベクターと比較し、HPV抗原遺伝子挿入hPIV2ΔMの回収には時間を要した。ようやく作製はできたものの、特に、hPIV2ΔM/L1の作製には、作製のための諸条件の検討等に時間がかかった。しかしながら、hPIV2ΔM/E6については、現在も作製できておらず、さらに条件を変えて作製を続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、平成27年度に作製できなかったhPIV2ΔM/E6を早急に作製するとともに、すでにマウスに経鼻投与した単独抗原挿入HPVワクチン効果を詳細に解析する予定である。さらに、予定していた研究計画に従い、HPV融合蛋白抗原を挿入した複数の型のHPVとの交叉性をもつユニバーサル感染予防ワクチンおよび子宮頸癌治療ワクチンベクターを作製し、マウスに経鼻投与し、その効果を詳細に解析する予定である。 子宮頸癌治療に関与する細胞性免疫誘導評価は、当初計画したすでに報告されているCTLエピトープを用いるin vitro系に加え、現在作製中のHPV抗原を構成的に発現する細胞の移植による子宮頸癌類似モデルマウスを作製し、このモデルマウスへのワクチンの経鼻投与によるin vivoの癌増殖抑制効果についても検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
子宮頸癌ワクチンベクター作製の遅れにより、平成27年度に計画した予定数のマウスならびに有効性解析に使用するELISPOTアッセイキット、ELISA等に使用する各種抗体等を購入しなかったため次年度への繰り越し研究費が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、上記に示した平成27年度に購入しなかったアッセイキットや各種抗体を購入し、研究の遅れた単独抗原挿入HPVワクチン有効性評価を計るとともに、平成28年度の実際の研究計画に示した、HPV融合蛋白抗原を挿入した感染予防ワクチンおよび子宮頸癌治療ワクチンベクターの作製のためのプラスミド精製キット、トランスフェクションキットおよび各種酵素・抗体等を購入予定である。さらに、作製したワクチンの有効性評価のためのマウスならびに各種キットを購入する予定である。また、平成28年度は、研究期間の最終年度であり、成果の学会発表ならびに論文投稿の費用としての使用を予定している。
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[Journal Article] Phase II study of concurrent chemoradiotherapy with weekly cisplatin and paclitaxel in patients with locally advanced uterine cervical cancer: The JACCRO GY-01 trial.2016
Author(s)
Umayahara K, Takekuma M, Hirashima Y, Noda SE, Ohno T, Miyagi E, Hirahara F, Hirata E, Kondo E, Tabata T, Nagai Y, Aoki Y, Wakatsuki M, Takeuchi M, Toita T, Takeshima N, Takizawa K.
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Journal Title
Gynecol Oncol.
Volume: 140
Pages: 253-258
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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