2016 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜症の悪性化、浸潤能、治療抵抗性における線維芽細胞の役割
Project/Area Number |
15K15611
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
北出 真理 順天堂大学, 医学部, 教授 (20266026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折茂 彰 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70275866)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 子宮内膜症マウスモデル / 個別化癌転移モデル / 子宮内膜症 / 線維芽細胞 / 治療抵抗性 / 腫瘍内線維化 / 腹腔内転移 / 癌微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
女性ホルモン依存性に異所性増殖を繰り返す子宮内膜症は、転移や浸潤、播種など腫瘍類似の進展性を持ち、癌化や易再発性、治療抵抗性のリスクがある。子宮内膜症に対する機能温存手術のみでは術後再発のリスクが高く、また子宮内膜症の治療薬であるホルモン製剤は排卵を抑制するため、妊娠希望の女性にも使用できる治療薬の開発が急務であった。これらの背景のもとに、外科的に患者より切除された患者子宮内膜症組織と線維芽細胞をT, B およびNK細胞を欠損した高度免疫不全NOGマウスに同所移植することにより、活動性子宮内膜症のモデルマウスを樹立し、子宮内膜症の悪性化や転移能における線維芽細胞の役割を分子レベルで明らかにする事を目的として申請研究を開始した。 患者子宮内膜症マウスモデルを作製するために、6例の患者より外科的に切除した子宮内膜症組織(子宮内膜症性卵巣嚢胞壁の一部)を前処理して作成した小断片を、NOGマウスの皮下および腹腔内に移植した。1検体につき1匹のestrogen ペレットを移植したNOGマウスを使用し、移植条件を(i)Matrigel添加後皮下移植群 ii) Matrigel+アテロコラーゲン添加後皮下移植群 iii)腹腔内移植群の3群に設定した。 最長1年間の経過観察期間を経て、6例中2例のMatrigel+アテロコラーゲン添加後皮下移植群で移植片の明らかな増大が確認された。増大した組織を採取して免疫染色を行った結果、1例は間質が豊富な子宮内膜組織が、2例目は、alpha-smooth muscle actin 陽性の子宮間葉系の腫瘍が検出されたが、2例とも子宮内膜上皮細胞の顕著な増殖はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
6例中2例のMatrigel+アテロコラーゲン添加後皮下移植群で、移植片の増大が確認された。1例は間質が豊富な子宮内膜組織、2例目は、alpha-smooth muscle actin 陽性の子宮間葉系の腫瘍が検出された。申請者らは、子宮内膜上皮細胞の増殖(癌化)を予期していたが、2例とも子宮内膜上皮細胞の顕著な増殖は検出されず、間質細胞の増殖が観察された。特に2例目の症例は、NOGマウス移植後1か月以内に1~2㎝の直径の間葉系の皮下腫瘍を形成した。 臨床的知見から考察すると、子宮内膜症の癌化は起こり得るが間葉系の腫瘍の発症は稀であると考えられる。今後はさらに移植症例を増やして、間葉系腫瘍の発症が一定の確率でみられるか否かについても検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、NOGマウスに移植した子宮内膜症組織より線維芽細胞を抽出し、DNAマイクロアレイ解析を用いて対照組織(患者の正所性子宮内膜組織から抽出した繊維芽細胞)と比べて増加もしくは減少している遺伝子を同定する予定である。 さらに、患者の子宮内膜組織を酵素処理によりsingle cell suspension とし、新たなNOGマウスの皮下・腹腔内・子宮内膜に抽出した線維芽細胞と共移植した上で、子宮内膜症の進展程度や悪性化の有無につき対照群(単体で移植、もしくは正常子宮内膜から抽出した繊維芽細胞と共移植した場合)と比較検討する。また線維芽細胞と共移植した子宮内膜症組織におけるERの発現は、単体で移植した場合と比べて低下しているか否かを免疫染色やPCR法にて検査する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、術前にホルモン治療を行っていない患者からの適切な手術検体の採取が難しく、当初予定していた数の移植が困難であった事が要因の一つであると考えられる。またNOGマウスに移植した患者子宮内膜症組織の生着率も予測していたより低かったため、単純に移植回数を増やすよりも、移植する組織や移植部位、移植条件の再考が必要であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由より、術前ホルモン療法の調整により採取できる患者検体を増やす一方で、採取する組織(移植すべき子宮内膜症の種類)をはじめ移植部位や条件についても再検討し、症例を重ねて間葉系腫瘍の発症率についても検討する予定である。 実験の次のstepとして、患者子宮内膜を酵素処理によりsingle cell suspension としてNOGマウスの子宮内膜に同所移植を行う事や、患者子宮内膜症組織より線維芽細胞を樹立する実験も予定している。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Complement inhibitor CSMD1 acts as tumor suppressor in human breast cancer.2016
Author(s)
Escudero-Esparza A., Bartoschek M., Gialeli C., Okroj M., Owen S., Jirström K., Orimo A., Jiang WG., Pietras K., Blom AM.
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Journal Title
Oncotarget, Oncotarget.
Volume: 7
Pages: 76920-76933
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Cartilage oligomeric matrix protein contributes to the development and metastasis of breast cancer.2016
Author(s)
Englund E, Bartoschek M, Reitsma B, Jacobsson L, Escudero-Esparza A, Orimo A, Leandersson K, Hagerling C, Aspberg A, Storm P, Okroj M, Mulder H, Jirström K, Pietras K, Blom AM.
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Journal Title
Oncogene
Volume: 235
Pages: 5585-5596
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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