2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15618
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
川内 秀之 島根大学, 医学部, 教授 (50161279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森倉 一朗 島根大学, 医学部, 講師 (00362939)
飯笹 久 島根大学, 医学部, 助教 (80306662)
青井 典明 島根大学, 医学部, 講師 (80452556)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スギ花粉症 / 花粉症治療米 / 経口免疫療法 / 舌下免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウススギ花粉症実験モデルを作成し、スギ花粉の主要アレルゲンであるCryj1やCryj2のT細胞エピトープのみを遺伝子導入したスギ花粉治療米を用いて、経口あるいは舌下免疫療法の有効性を検討した。 その概略は以下のとおりである。農水省生物資源研究所の高岩文雄氏より供与を受けたマウス用スギ花粉症治療米を用いて、経口免疫療法あるいは舌下免疫療法の有効性の検討した。Balb/cマウスを用いて、スギ花粉抽出物で全身感作を行う前に、治療米を経口投与もしくは舌下投与する実験系を組み、誘導相における経口免疫療法と舌下免疫療法の有効性を検討した。花粉症治療米の成分で遺伝子導入したT細胞エピトープを含む蛋白顆粒のみを精製した成分を用いることにより経口的自然摂取で、鼻症状の抑制に必要な有効投与量をさらに低下させることができた。また、血清中の特異的IgE抗体の減少や鼻粘膜への好酸球浸潤の低下が認められた。さらにこの精製した蛋白顆粒成分を舌下投与した実験系においても、鼻症状の抑制効果を認めることが証明された。さらに血清中の特異的IgE抗体の減少や鼻粘膜への好酸球浸潤の低下も確認された。従来型の精製したアレルゲンを用いた免疫療法では、有効性については評価されるが、Bエピトープを含む免疫療法用アレルゲンでは、皮下免疫でも舌下免疫療法でも、IgE抗体との結合は回避できず、アレルギー反応による副作用に常に留意しなければならず、今回の検討結果は、今後のスギ花粉症の治療における安全な治療薬の開発に繋がる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スギ花粉症治療米の蛋白分画を用いた経口免疫あるいは舌下免疫療法の有効性について、 マウススギ花粉症実験モデルにおいて、十分な有効性を証明できた。有効な投与量あるいは剤形についても検討した。ざさらにその有効性の機序についても解明できた。 現在、他施設でのスギ花粉症患者における臨床的検討において蛋白分画を含んだ腸用カプセルの安全性についての検討が行われ、安全性が示されている。今後、スギ花粉症患者における腸用カプセルの経口投与での有効性についての臨床試験の実施を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎的研究の成果は十分に得られたが、今後、スギ花粉症患者におけるスギ花粉症治療米(腸用カプセル)を用いた経口投与の有効性についての大規模臨床試験の実施が待たれる。また、小グループにおいても臨床効果の検討を行うべく、準備を進めている。
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Causes of Carryover |
予定して実験的検討のうち、実験材料(スギ花粉症緩和米の蛋白分画など)の一部の課題が施行できず、動物購入費や実験に使用する試薬の購入費が消化できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度の実験的検討において、使用する予定である。
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Research Products
(1 results)