2016 Fiscal Year Research-status Report
家族性頸動脈小体腫瘍家系の遺伝子変異の解明と新規画像診断法を用いた分類法の確立
Project/Area Number |
15K15623
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
齋藤 大輔 岩手医科大学, 医学部, 助教 (40722715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 清人 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10187338)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 頸動脈小体腫瘍 / 遺伝子変異 / 家族性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はこれまで全く知られていない我が国の頸動脈小体腫瘍の遺伝子変異の実態を解明するためにSDH遺伝子ファミリーを始めとする遺伝子変異の検索を行い、既知以外の遺伝子変異もまたNGSを用いたwhole genome解析を行うことにより解析し、患者とその家族の経過観察に役立てるとともに、発症前診断についても貢献しようとするものである。同時に遺伝子変異の種類や動脈造影のパターン、dynamic CTなどの画像診断技術を用いた分類法を確立する計画である。 前年度に組織した「日本頸動脈小体腫瘍研究会Japan Carotid Body Tumor Research Group (JCBTRG)」が主体となり、「JCBTRG-1 頸動脈小体腫瘍の全国調査」と「JCBTRG-2 頸動脈小体腫瘍症例の遺伝子変異の検索全国調査」の2つの多施設共同臨床研究を開始した。JCBTRG-1では全国の耳鼻咽喉科専門医研修認定施設316施設から回答を得て集積した結果から、20年間で約400例の頸動脈小体腫瘍が経験されていることが判明した。そのうち150例が症例登録され、患者の年齢、性別、家族歴などの調査を行うとともに、Shamblin分類や手術時間、出血量などを検討した。その結果、日本国内では患者の所在に大きな偏りが有ることが明らかになった。このことは家族例の存在などから遺伝子変異をもった症例が集まる地域の存在を予想させる。 JCBTRG-2では神戸大や東京医科歯科大などのコアグループメンバー施設から症例登録が開始されるとともに患者の血液サンプルからの遺伝子変異の検索が始まっている。本年度中には各地域の遺伝子変異の局在の大凡が判明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年に「日本頸動脈小体腫瘍研究会Japan Carotid Body Tumor Research Group (JCBTRG)」を組織した。コアメンバーは岩手医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科、慶応大学医学部耳鼻咽喉科、名古屋大学耳鼻咽喉科、神戸大学耳鼻咽喉・頭頸部外科、長崎大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科である。16年度に東京医科歯科大学頭頸部外科が加わっている。この研究会では現在「JCBTRG-1 頸動脈小体腫瘍の全国調査」と「JCBTRG-2 頸動脈小体腫瘍症例の遺伝子変異の検索全国調査」の2つの多施設共同臨床研究が開始、進行中である。JCBTRG-1はほぼ症例集積が完了して、現在症例の解析を行っている。JCBTRG-2は個人情報である遺伝子解析が内容に含まれるため、複数の施設のIRBで承認に時間がかかったが、徐々に症例の登録が始まっており、ほぼ予定通りの症例蓄積ができそうである。 一方、画像診断を基にした新たな分類法の確立については現在、登録症例の画像を基に検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
岩手医科大学附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科が中心となり組織した「日本頸動脈小体腫瘍研究会Japan Carotid Body Tumor Research Group (JCBTRG)」が主体となり、まず現在進行中の多施設共同臨床研究「JCBTRG-1 頸動脈小体腫瘍の全国調査」で頸動脈小体腫瘍の本邦での実態を把握し、調査結果をまとめて発表する。同時に「JCBTRG-2 頸動脈小体腫瘍症例の遺伝子変異の検索全国調査」を進めて遺伝子変異の実態を調査する。必要な場合にはNGSを用いたwhole genome解析を行って新たな遺伝子変異の調査を行う。 症例調査で得られた画像情報などをもとに頸動脈小体腫瘍の新たな分類法を考案する。
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Causes of Carryover |
前年度の未使用額の一部がそのまま未使用になったと解釈される結果で、研究開始当初より予定されていた年度使用額は使用している(むしろ多く使用)。前年度も記載したように1年目は「日本頸動脈小体腫瘍研究会Japan Carotid Body Tumor Research Group (JCBTRG)」を組織したりする活動にあてられたため研究費の使用額が少なくなったが、本年度は遺伝子変異検索用試薬の購入に支出が増加しており、今後もさらに増えると予想される。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「JCBTRG-2 頸動脈小体腫瘍症例の遺伝子変異の検索全国調査」が開始されており、遺伝子変異の検索が進められるため、試薬代などの支出が増加する予定である。
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Research Products
(3 results)