2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15627
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木下 晴之 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (40466850)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 緑内障 / インプラントデバイス / マイクロ流体 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、マイクロ流体緑内障インプラントデバイスのプロトタイプを設計、試作し、性能評価のための卓上実験を実施した。微小流路とマイクロバルブをシリコーンゴム製のシート状デバイス内に集積化することで、緑内障インプラントデバイスに求められる重要な機能である排水機能と眼圧調整機能を実装し、なおかつデバイス自体を薄く柔軟にすることに成功した。 フォトリソグラフィー技術と機械加工技術を利用して作製した専用金型にインプラント用シリコーンを流し込んで型取りすることで、微小流路を持つ薄型シリコーンデバイスを成型し、同様の方法で作製した薄いシリコーンシートと貼り合わせたあと、切り出すことによって流路とバルブが内蔵された単純柔軟シート状デバイスを試作した。流路の一部を接合せず、圧力が加わると剥がれるようにすることで、流路の一部がバルブとして機能するように設計した。 次に、試作したデバイスの圧力制御性を卓上で測定、評価するための実験系を構築した。シリンジポンプを用いて一定流量で送液できる系と、水頭差を利用して一定圧力を加えることができる系を構築した。圧力センサと流量センサを組み込むことで、試作デバイスの流路に加わる圧力と流れる流量を同時に測定できる系となっている。この実験系を使って、試作デバイスの流路に圧力を加えてマイクロバルブが開く圧力しきい値およびそのときの流量を測定し、圧力制御性を評価した。その結果、ある一定圧力値でバルブが開き、圧力が開放されることが実証された。その圧力しきい値はバルブの形状やサイズを変えることで調整できることが示された。また、実際に体内に埋め込むことを想定して、細胞組織やタンパク質の接着性の観点から、デバイス表面処理について調査と実験を重ねた。その結果、インプラント用シリコーンでは細胞やタンパク質の付着は見られず、素材そのままでも十分機能を果たすことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、マイクロ流体緑内障インプラントデバイスの試作と卓上性能評価実験を実施し、ある一定圧力で開くマイクロバルブを搭載した試作デバイスの開発に成功しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
眼圧を一定圧力値以下にすることができる試作デバイスの開発には成功したが、目標とする圧力しきい値が小さいため(10~20mmHg程度)、圧力制御機能においてデバイス個体間のバラツキが大きく、歩留まりも悪い。そこで今後、さらに圧力制御性における精度を向上させていく。また、現状の試作デバイスは、流路1本とマイクロバルブ1個で構成されているが、今後、排水機能のロバスト性の向上を考慮し、複数個の流路やバルブの配置と集積化に取り組む。さらに、試作デバイスを動物の眼球へ埋め込んで眼圧制御機能の評価実験を実施する。実際の応用を想定し、生体内で排水流路やバルブが機能するかどうかを検証する。
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Causes of Carryover |
国際学会で成果発表するための海外出張旅費を計上していたが、国内学会での成果発表のみになったため、その旅費分が次年度使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会で発表するための海外出張旅費として翌年度、当該助成金を使用する。
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Research Products
(2 results)