2016 Fiscal Year Research-status Report
Lineage tracingによる脂肪移植片生着機構の解明
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15K15654
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
宇田 宏一 自治医科大学, 医学部, 准教授 (20337306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須永 中 自治医科大学, 医学部, 講師 (00406117)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脂肪由来幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
Prx1発現細胞特異的にCre recombinaseを発現するPrx1Creマウスと、Cre recombinaseを発現した細胞において赤色蛍光色素Ai14を発現するRosa26-LSL-tdTomatoマウス(Ai14マウス)を交配することにより、Prx1発現細胞に由来する細胞がtdTomatoを恒久的に発現するPrx1Cre;Ai14マウスを作製した。Prx1Cre;Ai14マウスの鼠径部より脂肪組織を摘出し、抗CD31抗体、抗CD34抗体、抗Perilipinによる免疫蛍光染色を行い、共焦点レーザー顕微鏡にて観察したところ、全てのPerilipin陽性細胞はtdTomato陽性であり、Prx1発現細胞が脂肪前駆細胞であることが示された。また、tdTomato陽性CD34陽性CD31陰性細胞はCD31陽性の血管内皮細胞の近傍に存在しており、Prx1発現細胞はいわゆるPericyteであり、Prx1発現細胞がAdipose stem/stromal cells(ADSCs)と同一の集団であることが示された。 続いて、Prx1Cre;Ai14マウスの鼠径部より採取した脂肪組織をコラゲナーゼにて分解し、遠心分離にて沈殿した間質細胞を初代培養した。初代培養時ではtdTomato陽性細胞と陰性細部が混在しており、陰性細胞はCD31陽性の血管内皮細胞であったが、継代を進めるとCD31陽性細部は駆逐され、ほぼ全てtdTomato陽性CD34陽性CD31陰性細胞のADSCsのみとなった。このADSCsをWildマウスより採取した脂肪細胞とともにWildマウスの背部皮下に移植し、4週間後に摘出・観察した。 生着した脂肪組織内の脂肪細胞や血管内皮細胞の一部はtdTomato陽性であり、脂肪移植の際にはADSCsによる脂肪細胞・血管内皮細胞の再生が起きていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Prx1Creマウス、Ai14マウスともに、仔マウスを産まない・産む数が少ない・産んでも食べてしまう・産んでも授乳量が少なく仔マウスが発育不良でるというペアが多く、実験に必要なPrx1Cre;Ai14マウスの個体数を確保するのに非常に難渋している。一度はPrx1Creマウス・Ai14マウスとも1ペアずつしかいない状態となったため、Prx1Cre;Ai14マウスの作製を半年ほど中断し、Prx1Creマウス・Ai14マウスそれぞれの繁殖のみを行う時期があった。
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Strategy for Future Research Activity |
各種組織障害モデル(放射線障害モデル、虚血モデル、皮弁モデル)に対して、Prx1Cre;Ai14マウス由来のtdTomato陽性ADSCsを移植することにより、ADSCsによる再生・組織肥沃化治療の可能性を探究する。
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Causes of Carryover |
遺伝子改変動物の繁殖・交配に難渋し、当初の計画より遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに一時の危機(遺伝子改変マウスの全滅)を脱し、実験に必要な遺伝子改変マウスを確保することが可能となっているため、最終年度にて遅れている分の計画を進めることは十分に可能である。
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