2015 Fiscal Year Research-status Report
集中治療患者の貧血に対するエリスロポエチン製剤投与の可能性
Project/Area Number |
15K15660
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
織田 成人 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90204205)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ICU患者 / 貧血 / 輸血 / エリスロポエチン製剤 / 長期転帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
集中治療室(ICU)に入室する重症患者は,原因疾患や検査のための採血などによって多くが貧血に陥る.ICU患者に対する輸血は,転帰の悪化と関連することがこれまで報告されており,ガイドラインではヘモグロビン値(Hb)が7g/dL以下になった場合に輸血を行うことが推奨されている.しかし,ICUに長期滞在する患者ではこのような管理を行っても,輸血が必要となることが多い.一方でICU患者に対するエリスロポエチン製剤の使用は,多くのガイドラインで推奨されていない.本研究は,ICU患者の貧血の原因を様々な面から解明し,輸血を避けるためのエリスロポエチン製剤の投与による貧血治療の可能性を臨床的・医療経済的に検討し,ICU患者に対するエリスロポエチン製剤(EPO)を用いた貧血治療の大規模RCTの足掛りとすることを目的としている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画は当院の倫理審査会に申請し,許可を得た上で患者のデータの収集を平成28年1月より開始した. 当ICUに入室し,ICUに4日以上滞在すると予想される患者もしくは臓器不全を認める患者において,貧血に関連すると考えられる以下の検査等を前向きに実施している.血算,血清鉄,UIBC,フェリチン,血中エリスロポエチン濃度を,入室時,3日目,7日目,以降1週間ごとに測定し,貧血の進行と造血能,鉄代謝を評価している.また毎日の採血量を正確に記録し,輸血量(原則としてHg 7g/dLを閾値とする),輸血を必要とした原因病態と輸血の副作用を記録している.さらに貧血に影響を与えると考えられる患者の重症度(APACHE IIスコア,SOFAスコア),腎機能,腎補助療法の有無,出血性合併症についても調査している.平成28年3月31日時点で40症例のデータを集積した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,上記のデータを輸血実施群と非実施群で比較検討するとともに,多変量解析を行いICU患者の貧血に影響を及ぼす因子を特定する.その結果から,EPO投与によって効果が得られると考えられる症例群を特定する.さらに,貧血の治療に要した費用(主に輸血製剤)を算定し,仮にEPO投与をした場合のコストと比較検討する.これらのデータは千葉大学医学部附属行院ICUで用いているデータベースを活用するとともに,コストに関しては当院のDPCデータを活用して算出する.その結果から輸血のハイリスク患者で,かつEPO投与によって貧血改善効果が得られると考えられる症例に対して,IRBの承認を得た上で実際にEPOを投与し,その効果を検証する予定.
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Causes of Carryover |
当初予定していた症例数を集積することが出来なかったため、試薬等で未購入分が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き症例集積を行うことで予定していた試薬を購入する予定.
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