2015 Fiscal Year Research-status Report
補体沈着による赤血球の機能低下が重症病態に与える影響についての研究
Project/Area Number |
15K15672
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
室谷 卓 関西医科大学, 医学部, 助教 (20528434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻本 和人 関西医科大学, 医学部, 助教 (00460808)
鍬方 安行 関西医科大学, 医学部, 教授 (50273678)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 赤血球 / 補体 / 敗血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は救命センターに搬送される重症患者の赤血球に沈着する補体成分と患者の重症度や合併症の発症等との関連性を明らかにすることである。 これまでエリテマトーデスの患者や外傷患者では認められたが重症患者において赤血球上に補体の沈着が有意に認められるかやどのような疾患で補体沈着が認められるかを検討した。 試薬と実験器具の準備、また、実験系の確立に時間を要したが、27年度終了時点では急性大動脈解離、敗血症の患者の余剰検体を用いて赤血球表面上の補体沈着を検討した。 ヘパリン化して採取された患者全血のうちピペットを用いて50μlを取り出し遠心分離を使用し赤血球溶液を完成させる。補体成分C4dを蛍光色素FITCで標識したこれらの患者の赤血球をフローサイトメトリーで計測を行い、赤血球上のC4dの補体沈着を数値化した。フローサイトメトリーの機種・出力は各測定で同一に設定した。重症病態患者は実験予定を立てにくいこともあって、実験を行ったn数が十分でなく、統計学的な検討はできていないが、健常人の赤血球表面に沈着したC4dと比較して、明らかに補体沈着が増加していることが分かった。 実験の準備に時間を要したが、今後はn数を増やすべく、敗血症、外傷、心臓血管疾患など幅広い重症患者の余剰検体を集め、可能であれば同一患者での赤血球上補体量を経過とともに追い、重症病態と補体の沈着量に何らかの関連性があることを示していく方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験器具、実験用具の準備に時間がかかった。 申請内容には赤血球変形能を検討する予定であったが、変形能を測定する実験器具を調達することができず、まずは赤血球の補体沈着を確認し、健常成人の赤血球に比べて重症病態の患者の赤血球のほうがより、補体が沈着していることを確認することを開始した。 実験はスタートしているが、予定通り進捗していないためやや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では重症度や合併症の評価が進んでいないため患者データを入力しEXCELファイルなどに入力する。初日の患者重症度と補体沈着に何らかの相関があるか検討を進める。また、同一患者で継時的に補体の沈着度合いを測定することで病態に応じて、補体沈着に影響があるかどうかを検討できる。 赤血球の変形能についてはデバイスの入手方法を検討するが、他の手段を用いて変形能を測定することができるかどうかを検討する。
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Causes of Carryover |
実験に使用する実験器具の調達ならびに進捗状況の遅れから結果のまとめが予定通り進んでおらず、学会発表が予定どおり行えなかったため出張費も含めて、計画通りでなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験に必要な試験管などの消耗物品などの購入を進め(不要なものの購入はない)実験の遅れを取り戻すとともに28年度の実験計画と合わせて実験を進めていく。結果発表の場を設けて発表を行い、その旅費も必要となる見込み。資金計画通りの使用を心掛けたい。
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