2015 Fiscal Year Research-status Report
オプトジェネティクスを用いた骨組織内骨細胞の光機械刺激と細胞張力測定
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15K15681
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 卓史 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30455795)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光遺伝学 / 機械的刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物の生体内には様々な細胞外の刺激を感受してシグナル伝達に変換する細胞が存在している。その中には細胞外の機械的刺激を受けとる細胞も存在し、骨を形作る細胞や歯と歯槽骨の間で緩衝作用をになっている歯根膜細胞などが知られ、機械的刺激と細胞応答の関係が精力的に調べられてきている。特に骨組織はミネラル成分の中に埋没し、骨細胞同士が3次元的に結びついた網目状構造をとっている。骨細胞は神経細胞の様に細胞突起(cell process)を伸ばし、骨細胞同士、骨細胞-骨芽細胞間で連結して細胞間ネットワークを形成して全体として機械刺激を感知するメカノセンサーネットワークとして機能している。しかし機械刺激を受け取る骨細胞が、硬いミネラル成分に囲まれているため骨細胞の局所にかかる機械刺激の強度や、その機械刺激がどのように骨細胞内を伝わっていくかはいまだ明らかとなっていない。本研究はオプトジェネティクス(光遺伝学)を利用して、光を用いることにより①硬組織に埋没している骨細胞に非接触的に機械刺激を加える方法の開発と、②細胞に加わった機械刺激強度を、張力センサータンパク質を用いて実測し、骨細胞ネットワーク内での伝播機構を解明することを目的としている。我々は先ず実験基盤の確立としてヒトの歯根膜細胞株を用い、伸展刺激を加えたときにこの細胞が細胞応答を起こすことができるかを検討した。シリコンチャンバー上に播種した細胞に対し、1軸方向に伸展刺激を加えたところ20時間後には伸展軸に対して垂直方向に細胞が配列したことを確認した。このことからこの歯根膜細胞株は機械的刺激を受容して細胞応答することが出来ることが明らかとなった。今後はこの細胞株や骨関連細胞を用い、同時に開発を進めている光応答性タンパク質を用いることにより光を用いた機械的刺激制御方法の開発を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
機械的刺激を受け取る"場”としての細胞は確保することが出来た。しかしながら光刺激により応答を示す人工タンパク質の構築が予定よりも遅れている。光応答性タンパク質の種類は受け取る波長の違いによってもいくつか知られているのでその中でいくつか試し、最も効率の良いタンパク質をスクリーニングすることにより有用な人工タンパク質を作ることを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
光応答性タンパク質の種類を複数試す。特に励起波長において申請時の488 nmの波長よりも長い波長に対して活性化するタンパク質が知られてきているので長波長応答性タンパク質についても検討する。また、光応答性タンパク質の構築が遅れた分、ノックインマウスの作成も遅れてきているので、速やかに人工タンパク質を構築し、性能を評価した後、ノックインマウス作成を進める。
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Causes of Carryover |
当初想定していた光応答性タンパク質の製作がうまく進行せず、その次の段階であるノックインマウスの作成等が行えない状況になった。そのため機能評価試験に関わる消耗品の購入やマウスの作成に計画していた予算を行使することが出来なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
第一四半期において光応答性タンパク質の作成を行い、これを基に機能評価試験やノックインマウスの作成を第二四半期より開始する。当初計画でも1年目から2年目にかけてマウスの作成を行う様に予定していたため翌年度分とあわせて予算を執行する。
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Research Products
(3 results)