2015 Fiscal Year Research-status Report
象牙質/歯髄複合体の修復機構解明のための新規モデルの開発と分化決定因子の探索
Project/Area Number |
15K15699
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
興地 隆史 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80204098)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 歯髄 / 修復象牙質形成 / GaAlAsレーザー / osteopntin / dentin matrix protein 1 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らはラット臼歯へのGaAlAsレーザー照射が修復象牙質、反応象牙質あるいは骨様象牙質の形成を誘導することを見いだしている。同レーザーは歯質を蒸散させないため、細菌感染の影響を排除した条件で象牙質/歯髄複合体の修復機序を追究することが可能な新規モデルとして有用と考えられる。本研究は、「ある種の分化決定因子の発現挙動の相違が、形成される新生硬組織の種類を規定する」との新規仮説の検証の端緒として、同モデルの再現性向上のための照射条件の検討を行うとともに、硬組織関連非コラーゲンタンパクや硬組織分化マーカーなどの免疫組織化学的あるいはmRNA発現解析を行い、新生硬組織の形態的特徴との関連を解析することを目的としている。 本年度は、硬組織関連非コラーゲンタンパクであるosteopntin (OPN)、dentin matrix protein 1 (DMP1)を解析の対象として、これらのタンパクの局在を免疫組織化学的に観察した。その結果、歯髄では照射部直下で限局性の組織変性に続いて修復性変化が活発となり、照射後7日以降で修復象牙質と反応象牙質、21日後ではこれらに加えて骨様象牙質形成が観察された。また、免疫組織化学的にはDMP1,OPNとも照射後7日以降に、原生象牙質と新生硬組織との界面を中心に観察された。DMP1,OPNと、mineral trioxide aggregate直接覆髄後の被蓋硬組織形成過程においても、新生硬組織形成の拠点である変性層直下に明瞭な局在を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
osteopntinおよびdentin matrix protein 1を解析の対象として、これらのタンパクの局在と新生硬組織形成状況との関連を解析することが可能であった。しかしながら、mRNA発現状況の解析が十分進行していないため、やや遅れているものと判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
各種硬組織関連非コラーゲンタンパクのmRNA発現解析を実施するとともに、osteopntinおよびdentin matrix protein 1以外の硬組織関連非コラーゲンタンパク(osteonectin, osteocalcin, dentin sialophosphoproteinなど)、象牙芽細胞分化マーカー(heat-shock protein 25、nestingなど)、あるいは組織幹細胞マーカー(MAP1B, CD146など)の免疫組織化学的局在解析を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
研究機関に中断が生じたため、既存資料並びに現有機材を用いた解析にとどまった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
mRNA発現解析並びに免疫組織化学的解析に対して物品費の支出が見込まれるため、これに充当する予定である。
|