2015 Fiscal Year Research-status Report
リボフラビン励起UVA架橋法による根面う蝕予防・治療法の開発
Project/Area Number |
15K15700
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 美加子 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (40271027)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 保存修復学 / 象牙質 / コラーゲン / 紫外線 / 分子間架橋 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯の象牙質の強度には、ハイドロキシアパタイトに代表される無機成分のみならず、有機成分のコラーゲンの性質が深く関わっていると考えられる。実際、象牙質と性質の近似している骨でも、コラーゲンの老化が骨折のリスクを上げることが知られている。本研究では、象牙質コラーゲンの架橋形成を促進することで、象牙質の強化を図ることを目的としている。 コラーゲン分子間架橋材として、アルデヒド属は最も一般的ではあるが細胞毒性が懸念されてきた。それに代わる方法として、本研究では生体親和性の高いビタミンBの一種であるリボフラビンを採用し、その強化効果を詳細に検討した。すなわち、リボフラビン励起UVA架橋処理を施した象牙質のコラーゲン分子間架橋形成量と機械的強度の相関を、高速クロマトグラフィーおよび顕微ラマン分光分析による架橋定量と、曲げ試験および引 張り試験より分析した。 臨床応用可能なリボフラビン励起UVA架橋の最適処理条件として、0.1%リボフラビン水溶液にヒト象牙質試料を浸漬し365nmUVAを1600mW/cm^2にて10分照射したところ、曲げ強さは最大2倍に増加し、破壊靭性も1.4倍に増加することがわかり、リボフラビン紫外線処理で象牙質が脆くなることなく強化できることが証明された。続いて、高速クロマトグラフィーにてリボフラビン励起UVA架橋処理により分子間架橋が形成されていることを確認すると同時に、顕微ラマン分光分析にてプロリンおよびハイドロキシプロリンの関わる架橋形成がなされたことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リボフラビン励起UVA架橋の最適処理条件として、0.1%リボフラビン水溶液にヒト象牙質試料を浸漬し365nmUVAを1600mW/cm^2にて10分照射したところ、曲げ強さは最大2倍に増加し、破壊靭性も1.4倍に増加することがわかり、リボフラビン紫外線処理で象牙質が脆くなることなく強化できる条件を確定した。続いて、高速クロマトグラフィーにてリボフラビン励起UVA架橋処理により分子間架橋が形成されていることを確認すると同時に、顕微ラマン分光分析にてプロリンおよびハイドロキシプロリンの関わる架橋形成がなされるといった、架橋形成による強化メカニズムを明らかにしたことより、当初の実験計画どおりに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
コラーゲン架橋による歯の象牙質の強化の一環として、耐酸性の獲得について、pH4.5-5.0に調整した脱灰溶液を用いて、脱灰の程度をマイクロ CT撮影にて検討する。耐酸性獲得については、ナノインデンテーションにても評価する。
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Causes of Carryover |
本年度は、リボフラビン濃度および作用時間の条件設定について集中的に実験を実施した。そこでは、現有設備及び資材にて実験を遂行することが可能であり、クロマトグラフィーのカラムに代表される消耗品なども現有設備を使用することで完了することがてきたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、リボフラビン紫外線の強化効果について、耐酸性に注目して研究を続行する。それにより、リボフラビン紫外線処理による根面う蝕予防の効果について評価する予定である。研究成果は、海外での学会発表や若狭湾エネルギーセンターでの試料測定などにも旅費を支出する予定である。
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Research Products
(9 results)