2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on mastication dysfunction-induced memory impairment
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15K15712
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
道川 誠 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40270912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤川 安正 奥羽大学, 歯学部, 教授 (00127599) [Withdrawn]
大上 博史 広島大学, 医歯薬保健学研究科(歯), 助教 (70711307) [Withdrawn]
小野 卓史 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30221857)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 認知機能 / 歯科疾患 / 鼻閉 / 咀嚼機能低下 / 歯牙欠損 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,従来から歯の欠損や咀嚼機能低下と認知機能低下の関連が指摘されてきた疫学的研究の分子基盤を分子生物学的研究のエビデンスにより連結させ、「歯の欠損」「咀嚼機能低下」などの生物学的意義を明らかにする点にある。 これまでの疫学的研究では,「歯の喪失」がアルツハイマー病発症のリスク因子としているだけであり、「認知機能が正常な人が歯を喪失すると,アルツハイマー病を発症しやすくなるのか,またアルツハイマー病患者が歯を喪失すると症状が増悪されるか否か」についてはまったく明らかにされていない。そこで、申請者らは、歯の欠損の影響としての咀嚼機能低下に着目し、咀嚼機能低下を「歯の欠損」と「液体食(リキッドダイエット)」の2つの側面で誘導し、その影響を検討することにした。加えて、口腔内環境の悪化として鼻閉の影響についても検討した。 最初の2年間で、まずアルツハイマー病モデルマウス(APP-トランスジェニックマウス等)を用いて、(1)臼歯を抜歯し咬合接触がない状態を起こす、(2)リキッドダイエット食で飼育する、という条件下で飼育し、アミロイドカスケードを経由、あるいは経由せずにシナプス障害や神経細胞の脱落を惹起させるメカニズムを、アルツハイマー病の分子病態(Aβ沈着、シナプス脱落、細胞脱落、タウ蛋白質のリン酸化)および認知機能障害に標的を定めて解析した。本年度は、片側に鼻閉を惹起させ、認知機能、BDNFレベル、ストレス状態の解析を行った。その結果、片側鼻閉により動脈血中酸素飽和度の低下、認知機能の低下、脳内BDNFレベルの低下、海馬神経細胞数の減少が認められた。この変化には、コルチコステロンレベルの上昇が伴っていた。 本研究によって得られた知見は、認知症患者に対するチーム医療において、歯科が担う領域の裾野を広げることになり、今後の歯科界の発展に大きな貢献ができるものと考えられる。
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Research Products
(5 results)