2016 Fiscal Year Research-status Report
機能性ナノパーティクルを用いた新規生体組織接着技術の開発
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15K15723
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松本 卓也 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40324793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 正弘 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (70416220)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生体材料 / 組織接着 / 無機パーティクル |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年と同様、種々のアパタイトナノパーティクルを合成した。形状はスフェリカル、ショートロッド、ロングロッドの3種類であり、これらを合成、精製した。その後、実際にこのナノパーティクル分散液を用いて生体組織接着を試みた。用いた生体組織はマウス皮膚組織である。接着実験の結果、本パーティクル分散液がゲルの場合と同様、生体組織に対しても接着特性を有することが示された。この際、接着力としては、ロングロッドのナノパーティクルにおいて最も高い接着特性を示した。また、この接着を行った際のナノパーティクルの凝集状態について、電子顕微鏡を用いて観察したところ、パーティクルの形状に依存して、接着界面におけるナノパーティクルの分散状態が異なること、また、凝集塊の形状が異なることが明らかとなった。これらのことから凝集破壊が起こる割合を抑えるための適正な接着剤塗布量があることが示唆された。 次に同様の方法で合成したナノパーティクルを原料に成形、加工したアパタイトプレートを用い、マウス皮膚組織の接着を行った。微小メカニカルテスターを用いてこの接着力について定量評価した結果、現行のフィブリンゲルと比較して約2.4倍接着力示すことが明らかとなった。今回用いたアパタイトプレートは5mm x 5mmの正方形形状をしており、皮膚組織の間に介在する形をとったが、より微細に砕いた形状を使うことで、比表面積を高め、接着力をあげる可能性が考えられた。以降の検討に加えていく必要性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に挙げた通り、実際の生体組織接着を行い、その結果、生体組織接着剤としての本材料の有効性を示すだけでなく、現在使用されている接着剤よりも高い接着力を示すことを明らかにした。この結果、本接着剤の応用性を高めることが次のステップとして明確となってきた。これは当初計画を一部前倒しで行った研究である。上記のことから、本研究は概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
このアパタイトナノパーティクルならびにそれを原料にしたプレートが生体組織と接着するメカニズムについて、より詳細な検討を進める。具体的には、接着界面における生体組織の状態、生体分子の分布や変化などについて、組織学的検討ならびに微視的な検討を種々の染色方法ならびに電子顕微鏡観察などを通し、進めていく予定である。また、他の有機材料にアパタイトナノパーティクルを析出した場合の接着剤としての応用性などについても、合成方法を含め検討を進める予定である。さらに、アパタイトプレートを破砕し、比表面積を高めた状態での接着等についても、検討を進める予定である。
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