2015 Fiscal Year Research-status Report
自己免疫疾患における間葉系幹細胞の免疫寛容機構の解明
Project/Area Number |
15K15724
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
本田 雅規 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (70361623)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自己免疫疾患 / 1型糖尿病 / 細胞傷害性T細胞 / 制御性T細胞 / ヒト歯髄幹細胞 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,1型糖尿病を自然発症するNODマウスの脾臓からリンパ球の培養方法を確立させて,数日培養後の,TH17細胞と制御性T細胞数を測定することができた。また,それらの細胞が発現するIL17とIL10の遺伝子発現量を測定することもできた。一方で,リンパ球と共培養予定のヒト歯髄幹細胞を倫理委員会の承認下において,培養・増殖させることができた。次に,そのヒト歯髄細胞におけるCD80, CD86,CD105,CD146などの表面抗原の発現陽性細胞の割合を測定することもできた。次に,本実験の本題となるマウスリンパ球とヒト歯髄細胞を共培養することも可能となった,そこで,共培養後のリンパ球の生存数を検討すると,ヒト歯髄細胞と共培養しない場合と比較して,リンパ球の生存率が有意に高くなることが明らかとなった。次に,共培養後のTH17細胞と制御性T細胞(CD4,CD25,CD127陽性)数を検討すると,細胞傷害性T細胞(TH17細胞)数は有意に減少し,制御性T細胞の割合は有意に増加することが明らかとなった。したがって,本年度において,実験計画の示したように,ヒト歯髄幹細胞の免疫寛容能を持つことが示唆できる結果がえられたことになる。しかしながら,制御性T細胞のマスター遺伝子の発現量についての変化は無かった。次に,細胞内サイトカイン(IL4, IL6, IL10, IL12, IL17, TNF, IFN, TGF)の発現量をサイトカインアレイを用いて確認したところ,炎症を抑制する効果があることが明らかとなった。また,サイトカインアレイ解析からMCP-1の発現も共培養することで有意に高くなることが分かった。 しかしながら,このMCP-1は,既に報告されている指標であり新規のマーカーではなかったので,その点については,計画と異なっている。。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に示した初年度の計画の中で,マウス脾臓からのリンパ球の採取,ヒト歯髄幹細胞の培養,リンパ球とヒト歯髄細胞の共培養実験,サイトカインの発現解析,サイトカインアレイの実施などの実験は予定通りに行うことができた。特に、リンパ球の採取後にフローサイトメーターにての解析が中心となるが、2重染色、3重染色などの実験の実行も滞りなくできたことは、実験の進展に大いに影響するところであったので、順調に進展できたと考えている。さらに、歯髄細胞の入手についても、支障なく入手できたことも、昨年度の研究が順調に進展できたことの要因となる。これらの事をあわせて、昨年度の自己評価を「おおむね順調に進展している」とした。しかしながら,サイトカインアレイでの新規マーカーの発見や制御性T細胞のマスター遺伝子の発現に動きが無いことなど,予測していたことと異なる点も見られたことから,計画以上に進展しているとは考えず「おおむね」と判断し、記載した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の実験については、実験計画書通りに約8割がた進んだと考えている。しかしながら、本研究の最終的な目的となる「歯髄細胞の免疫寛容能の機構解明」の実験は、本年度に行うことになっているので、その研究課題の成就は本年度の研究成果によることになる。 昨年度において、サイトカインアレイを用いて、共培養後の発現解析を行ったが、再現性はとれているものの、免疫寛容能に関する新規タンパクを見つけるまでには至らなかった。そこで、昨年度において、サイトカインアレイでは、新規マーカーを発見することができていないことから,今年度は,マイクロアレイによるDNAの解析を行う事が必要となり,その実験が主な実験となると予想される。DNAマイクロアレイによって、本年度達成できなかった点について解決させる予定である。そして、最終的には、本研究の目標となる歯髄間葉系幹細胞が制御性T細胞を活性化する機構の解明に繋げたいと考えている。しかしながら,これらのマーカーが示されない場合には,昨年度に見出した、すでに周知となっているMCP-1による制御機構について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定の試薬がセール価格で購入できたので,874円の残金ができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の残金874円については,来年度の実験に使用予定御消耗品費として用いる予定です。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Use of Rat Mature Adipocyte-Derived Deffirentiated Fat Cells as a Cell Source for Periodontal Tissue Regeneration.2016
Author(s)
Akita D, Kano K, Saito-Tamura Y, Mashimo T, Sato-Shionome M, Tsurumachi N, Yamanaka K, Kaneko T Toriumi T, Arai Y, Tsukimura N, Matsumoto T, Ishigami T, Iisokawa K, Honda M.
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Journal Title
Front Physiol
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Small Buccal Fat Pad Cells Have High Osteogenic Differentiation potential.2016
Author(s)
Tsurumachi N, Akita D, Kano K, Matsumoto T, Toriumi T, Kazama T, oki Y, Tamura Y, Tonoji M, Iisokawa K, Shimizu N, Honda M.
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Journal Title
Tissue Eng Part C Methods
Volume: 22(3)
Pages: 250-9
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Characterization of mesenchymal progenitor cells in the crown and root pulp of primary teeth.2015
Author(s)
Toriumi T, Takayama N, Murakami M, Sato M, Yuguchi M, Yamazaki Y, Eto K, Otsu M, Nakauchi H, Shirakawa T, Isokawa K, Honda MJ.
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Journal Title
Biomed Res
Volume: 36(1)
Pages: 31-45
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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