2015 Fiscal Year Research-status Report
「脳の透明化」による神経障害性疼痛発症メカニズムの解明
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15K15727
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
詫間 滋 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (60360921)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 延髄 / 三叉神経脊髄路核 / 神経障害性疼痛 / 浮遊切片 / 組織透明化 / 免疫染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、(1)『透明化延髄標本』に対する、免疫組織化学的観察手法の確立、ならびに上記手法を用いた、(2)神経障害性疼痛モデル動物における、侵害受容システムの可塑的変化の解明、である。ラット延髄の水平断スライス標本(浮遊切片)の作成は報告者が既に確立した技術であるため、そのスライス標本を透明化することにより観察範囲を三次元的に拡大するというのが当初の構想であった。しかしながら、透明化処理による組織の膨張・縮小・変形、あるいは免疫染色における抗原性の低下といった欠点が知られているため、これをいかに克服するかの検討がまずは必要と考えた。その一方、いくつかの組織透明化手法がここ数年で立て続けに発表され、本研究の計画段階で既に存在していたSeeDB法(2013年)のほか、CUBIC法(2014年)、ScaleS法(2015年)が有力な候補となった。本研究ではスライス標本に対する免疫染色を行うため、組織透明化の程度もさることながら、標本がスライスしやすい性状に保たれること、および抗原性が保たれること、の2点が重要なポイントと考えられる。そこで当初計画から変更し、ScaleS法を透明化手法として採用し、これによる実験準備を進めている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究計画で用いる透明化手法の再検討、ならびにスライス標本作成のために不可欠なリニアスライサー購入までに一定の期間を要したことから、研究計画全体として遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画自体の変更はないが、まずは第一の目的である(1)『透明化延髄標本』に対する、免疫組織化学的観察手法の確立、に傾注して成果を挙げることを最優先とする。
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Causes of Carryover |
高価な実験機器を購入(リニアスライサーPRO7:1555200円)したため、実験用動物・消耗品購入のため次年度予算を前倒し支払い請求したが、実験計画遅れのため次年度に持ち越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
基本的な使用計画は当初予定した通りである。実験用動物・消耗品費として執行するほか、情報収集のための学会参加(2回)および実験技術習得のための講習会参加を予定している。
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