2015 Fiscal Year Research-status Report
新規頭頸部癌分子標的治療薬セツキシマブの副作用軽減治療薬の開発
Project/Area Number |
15K15731
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鵜澤 一弘 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30302558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 洋右 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (50451745)
肥後 盛洋 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (60724383)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | セツキシマブ / HacaT細胞 / HEK293細胞 / P38MAPK / TRPM6 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、セツキシマブに関して抗腫瘍性を減弱しないで皮膚毒性や心毒性を抑制する方法や薬剤を同定することを目的とする。セツキシマブによる皮膚毒性は、皮膚正常細胞のEGFRがブロックされ炎症が生じること、ならびに心毒性は、腎上皮細胞におけるMg再吸収不全にともなう電解質異常により生じることが示唆されている。HaCaT細胞・HEK293細胞を使用し、セツキシマブを作用させマイクロアレイ解析及び遺伝子パスウェイ解析を行った。 皮膚毒性:マイクロアレイ解析及び遺伝子パスウェイ解析の結果、セツキシマブを作用させたHacaT細胞では、P38MAPKの下流に存在する炎症性ケモカイン13遺伝子が発現増強を示した。real time PCRにおいても、セツキシマブを作用させたHacaT細胞では、13遺伝子のうち12遺伝子の有意な(P<0.05)発現亢進が確認された。次に、Western blotting 法を用いてP38MAPKのリン酸化を確認したところ、セツキシマブを作用させたHacaT細胞ではP38MAPKのリン酸化が亢進していることが確認された。セツキシマブを作用させたHacaT細胞においてP38MAPKリン酸化阻害剤(SB203580)を併用すると、上記炎症性ケモカインの発現減弱が確認された。 心毒性:セツキシマブを作用させたHEK293細胞では、c-fosの下流に存在し、Mg吸収に関わる遺伝子TRPM6が発現減弱を示した。real time PCRにおいても、セツキシマブを作用させたHEK293細胞ではTRPM6の有意な(P<0.05)発現減弱が確認された。次に、Western blotting 法を用いてTRPM6の上流であるc-fosの発現及びリン酸化を確認したところ、セツキシマブを作用させたHEK293細胞では、コントロールと比較してc-fosの発現及びリン酸化の減弱が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りの研究成果を上げでおり、皮膚毒性・心毒性のパスウェイ及び副作用の原因となる候補遺伝子が、in vitroにおいて同定されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、皮膚毒性・心毒性に関与する候補遺伝子の阻害剤または増強剤が抗腫瘍性を減弱させないことを確認し、副作用軽減治療薬の可能性を検討する。
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