2015 Fiscal Year Research-status Report
齲蝕原因菌のグローバルレギュレーションシステムに関与する新規遺伝子制御機構の解明
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15K15756
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
香西 克之 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 教授 (10178212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光畑 智恵子 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 准教授 (10335664)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Streptococcus mutans / Degradosome / 環境適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
う蝕の原因菌の1つであるStreptococcus mutans(以下SM)は、バイオフィルムを形成し、その中で様々な環境ストレスに適応して生存し、う蝕の発症に関わっている。環境適応に際し、遺伝子発現レベルにおいて広範囲な制御が行われ、定常状態を呈していると考えられるが、その方法としてglobal gene regulationを介した遺伝制御に加え、degradosomeと呼ばれるmultiprotein complexの形成やsmall RNAsなどによる制御が行われている可能性がある。これらの関与について明らかにすることを目的としている。E.coliではdegradosome構成タンパクの1つであるenolaseはすでにcloningができ、pull down assay用のconstructの作成を行っており、scaffoldとなるRNaseに関してはターゲットとなりそうな遺伝子に関して論文より選択したRNasesJ1,J2のcloningを進めている。また、NrnAのホモログとしのcloningも検討している。 一方、global gene regulatorの探索については、広く次世代シークエンサーを用いて探索を行う前にSMの菌体外多糖の形成ならびに細菌増殖を抑制することで齲蝕抑制が期待されているtriterpenoid compoundsによる環境ストレスについて検討した。 triterpenoid compounds存在下での増殖抑制状態で数種類の遺伝子に関してreal time PCRを行いRNA量を確認したところ、いくつかの遺伝子で増減が認められた。この環境ストレス適応に対して、すでにglobal geneとして報告されているCovRやRpoEが関与するかをまず明らかにするために、両者のcloningも始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
それぞれの遺伝子に関してのcloningやconstruct作成に時間がかかっており、当初に予定していた解析まで至っていない。特に、global gene regulatorの探索については、当初まず、acid-stress, oxidative-stress, starvation-stress等のストレス状態で培養し次世代シークエンサーを用いてRNA発現量を調べることとしていたが、これ以前に、triterpenoid compoundsによる環境ストレスによる影響についてすでにglobal geneとして報告されているCovRやRpoEが関与しているかどうかについて明らかとすることとしたため全体的な流れ上、遅れとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
Degradosome構成タンパク質のenolaseやRNaseを軸にSMでの複合体を形成するタンパク質の探索を行う系を進め、Degradosomeの形成が行われているかどうかを明らかにする。一方、triterpenoid compoundsによる環境ストレスによる影響についてはすでに報告されているglobal gene に関して、これらによる制御が起こっているかどうかについて確認するとともに、SMをacid-stress, oxidative-stress, Starvation-stress条件下で培養し、コントロールと比較し、ストレス時に増減するRNA 並びにタンパク質の探索を行い、環境適応に対する細菌内調節機序を明らかにする。
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Causes of Carryover |
注文した超純水器用の濾過カートリッジが予定していた金額よりも安価で購入できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究遂行にあたり、本年は遺伝子解析並びにタンパク質発現解析等を行う必要があるが、機器類は教室内並びに中央研究室で使用ができることから機器類の購入を行う予定はなく、薬品・試薬類、抗体などの消耗品費として使用する。
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