2015 Fiscal Year Research-status Report
歯周炎原因遺伝子の同定をベースにする新しい分子標的治療の開発
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15K15768
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
大島 光宏 奥羽大学, 薬学部, 教授 (30194145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 洋子 日本大学, 歯学部, 助教 (00239922)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯周炎 / FLT1 / 線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周炎分子標的治療薬の開発を目指すにあたり、申請者らが歯周炎原因細胞と推定している歯周炎関連線維芽細胞を用いた「生体外歯周炎モデル」において、コラーゲン分解の進行に伴い発現が上昇する遺伝子をマイクロアレイでピックアップした。3ペアの解析で発現上昇がみられた遺伝子は42あり、さらにクローン化した細胞を用いてモデルを構築してマイクロアレイ解析し、結果を重ね合わせたところ、22遺伝子まで絞り込むことができた。これらの遺伝子内、線維芽細胞に高発現して11種の遺伝子に関してqPCRでvalidationを行ったところ、FLT1 (VEGFR1)が歯周炎原因遺伝子の最有力候補として浮上した。VEGFRキナーゼ阻害剤によりコラーゲン分解は阻害されたが高濃度が必要であっため、FLT1のmiRNAをtransfectしてRNAiを行った。その結果、明らかにコラーゲン分解が阻害されたため、FLT1が歯周炎原因遺伝子である可能性が最も高いことが判明した。VEGFRキナーゼ阻害剤はTIMPsの発現を誘導するため、コラーゲン分解阻害は主にTIMPsの働きによるものと推測された。また、免疫染色によりリン酸化FLT1が歯周炎関連線維芽細胞を埋入したゲルおよび歯周炎罹患歯肉で観察されたことから、生体内でもFLT1のリン酸化の下流でコラーゲン分解が起こっていることが推測できた。また、二次元培養でも歯周炎関連線維芽細胞ではFLT1の発現が顕著に高いため、qPCRを用いた細胞検出方法を確立した。この方法を用いてコラーゲン分解阻害作用を有している数種類の生薬を作用させたのちFLT1の発現変化を調べたが、期待したようなFLT1発現の低下は見られなかったため、生薬の作用点はFLT1よりも下流にあることが推測された。現在、二次元培養した歯周炎関連線維芽細胞に対する薬剤の効果をqPCRで検出できる系を構築中で、これにより生薬のスクリーニングが迅速に行えるようになると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理研FANTOM5プロジェクトに歯周炎関連線維芽細胞のCAGE法による解析を依頼し、その結果を健常な歯肉線維芽細胞と比較したところ、ある遺伝子の転写開始点に明らかな違いがあることを東大呼吸内科の堀江助教と齋藤助教が発見し、現在論文執筆中である。この発見により、歯周炎関連線維芽細胞が歯肉線維芽細胞とは明らかに異なる細胞であることが判明した。また、RNA-seq解析によってもFLT1が高発現していることが判明し、歯周炎関連線維芽細胞が歯周炎原因細胞である可能性をさらに高めることができた。この結果を生薬のスクリーニングに活かしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
FLT1を歯周炎原因遺伝子の最有力候補として挙げることができたため、この分子を標的とした薬剤のスクリーニングを行っていきたい。また、いくつか他の遺伝子も組み合わさってコラーゲン分解が起こることが推測されるため、複数の分子を標的とする治療薬の開発も視野に入れている。今後は歯周炎関連線維芽細胞のRNA-seqの結果をさらに深く解析するとともに、DNAメチル化アレイの解析結果を待ち、歯周炎原因細胞の成り立ちにも迫っていきたい。
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Causes of Carryover |
分担者による予備サンプル輸送費の未使用により発生した残額。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に使用予定です。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Fibroblast VEGF-receptor 1 expression as molecular target in periodontitis.2016
Author(s)
Ohshima M, Yamaguchi Y, Ambe K, Horie M, Saito A, Nagase T, Nakashima K, Ohki H, Kawai T, Abiko Y, Micke P, Kappert K
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Journal Title
J Clin Periodontol
Volume: 43
Pages: 128-137
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] CAGE revealed novel biomarker of periodontitis-associated fibroblasts2015
Author(s)
Masafumi Horie, Yoko Yamaguchi, Akira Saito, Takahide Nagase, Masayoshi Itoh , Hideya Kawaji, Timo Lassmann, Piero Carninci, Yoshihide Hayashizaki, Alistair Forrest, The FANTOM consortium, Marina Lizio, Masahiro Kondo, Tatsuo Suzutani, Patrick Micke, and Mitsuhiro Ohshima
Organizer
IMGC2015
Place of Presentation
横浜市
Year and Date
2015-11-08 – 2015-11-11
Int'l Joint Research