2015 Fiscal Year Research-status Report
唾液由来鎮痛物質による新たな慢性疼痛制御理論の確立
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15K15769
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
庄司 憲明 東北大学, 大学病院, 講師 (70250800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹野 高嗣 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (10125560)
西岡 貴志 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50641875)
篠田 雅路 日本大学, 歯学部, 准教授 (20362238)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シアロルフィン / 慢性疼痛 / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
最近、非定型歯痛、舌痛症および顎関節症などの慢性疼痛患者は増加傾向にあり社会問題となっている。しかしながら、慢性疼痛に対する治療法は確立されておらず、診断および治療法の開発は急務であり責務である。近年、ラット唾液からモルヒネの約3~6倍の鎮痛効果があるシアロルフィンが発見された。さらに、2006年、ヒト唾液内からシアロルフィンと同様の鎮痛作用を持つオピオルフィンが発見された。しかしながら、いまだこれら唾液由来の鎮痛物質が慢性疼痛にどのような効果をもたらすかについては明らかにされていない。また、これらの鎮痛効果の評価はラットの行動薬理学的評価であり、疼痛そのものを評価していない等の問題があるため、シアロルフィンおよびオピオルフィンを臨床に応用するためには、鎮痛効果の判定(定量)が不可欠である。 H27年度は慢性疼痛モデルの確立に重点を置き研究を遂行した。本研究課題ではシアロルフィンの鎮痛効果についてストレスを指標として評価するためCCIやtransectionモデルではなく中枢により影響が出ると考えられる母子分離慢性疼痛モデルを作製した。このモデルでは生後8週に、口髭部にmechanical allodyniaが発症した。また、生後 7, 14 and 21日目の血中Corticosterone量は、母子分離群で有意に上昇した。さらに、Corticosterone antagonistの投与により、母子分離群のmechanical allodyniaが抑制された。以上より口髭部mechanical allodyniaの発症とストレスとの関連性が示された。今後はシアロルフィンが母子分離群のmechanical allodyniaに及ぼす影響について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多数ある慢性疼痛モデルの中で疼痛の発症がストレスと関連するモデルを確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
母子分離慢性疼痛モデルのmechanical allodyniaに対し、ストレス応答(Corticosteroneなどのストレス物質)を指標としてシアロルフィンの鎮痛効果につて検討する。
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Causes of Carryover |
H28年3月に研究分担者と実験打ち合わせを行う予定であったが日程調整がつかず、本年度行うこととしたため旅費として予定していた額を次年度使用額とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度、予定している実験打ち合わせの旅費として使用する予定である。
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