2016 Fiscal Year Research-status Report
妊娠時からの乳幼児大規模コホート調査での口腔機能の発育と健康増進因子の網羅的検証
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15K15771
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小関 健由 東北大学, 歯学研究科, 教授 (80291128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小関 一絵 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (40400262)
細川 亮一 東北大学, 歯学研究科, 臨床准教授 (40547254) [Withdrawn]
有馬 隆博 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80253532)
伊藤 恵美 仙台青葉学院短期大学, 歯科衛生学科, 准教授(移行) (80596817) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大規模コホート調査 / 乳幼児 / 口腔保健 / エコチル調査 / 追跡調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界で4番目の乳幼児10万人大規模コホート調査「子どもの健康と環境に関する全国調査」(通称、エコチル調査)の宮城ユニットでは、現在1歳半の小児3,658名について、申請者が責任者として「口腔の健全な発育と疾病予防に関するコホート調査」がスタートしている。エコチル調査では、全ての健康に関わる環境要因、遺伝要因、社会要因、生活習慣要因等を、臍帯血・採血等の詳細な生化学的検査と遺伝子配列解析をも網羅して、日本全国の10万人の生まれ来る子どもたちを、妊娠中から13歳まで追跡する前向き調査であるが、全体調査では歯科の調査項目は、スタート時点では含まれていなかったが、現時点では様々な地域センターが追加調査を検討している状況になってきた。エコチル調査の本調査に合わせて口腔保健の追跡調査を実施すると、口腔保健推進の網羅的な要因解析と全身への影響の調査が可能である。調査は対象小児が13歳になるまで、まであと10年以上続く。本研究は、エコチル調査の中で唯一スタート時点から調査を開始している追加調査であると考えている。本研究では、エコチル調査の前半部分の就学前の口腔保健と医療について、宮城ユニットの追加調査として他の生活環境・社会環境、更には子どもの発育状態と関連づけて調査した。この調査は、継続した調査の一部として今後の解析の成長の段階での資料として重要であると共に、宮城県下の育児中の同年代コホートの横断調査として、様々な解析が可能となる。データは、宮城ユニットのデータセンタが個人情報を管理しながらデータベースを構築している。さらに、子どもの口腔保健の質問の構造と脱落乳歯の解析方法について調査研究を実施し、研究継続の基盤を確定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宮城ユニットのデータセンターでは、エコチル調査の追加調査として、他の幾つかの追加調査を同一の追加調査質問紙にまとめて制作・郵送し、質問紙の回収と個人の確認、データ入力とデータベースの構築、匿名化の作業を実施している。本研究では、実験の運営に密接に関与するエコチル調査宮城ユニットとの連携によって、年次毎の質問紙調査の対象者とのデータ収集を実演しており、これによって研究者は調査の運営を宮城ユニットセンターに任せて、研究を中心に取り組むことが出来る。これまでの研究の質問紙調査の進捗状況は計画通り順調に推移し、データベースが順次更新している段階である。本年度の事業は、対象者が12歳になるまで続く成長の各段階におけるチェック項目と質問紙の内容を、全国調査の質問紙調査と合わせて策定して、参加者全員が判りやすく同じ解釈が出来る質問を調整した。そのために幾つかの選択枝を選択するための基礎的研究を実施した。さらに、収集する予定の乳歯から成長発育の状況や齲蝕等の疾病に関わる情報を判断する方法を検索した。則ち、これまで実施してきた乳幼児の質問紙調査の結果を整理し、その際の健康・発育に密接に関連する質問を抽出した。同時に、震災前後の生活の変化を検出する研究も実施した。更に、育児データ回収を実施する際のITの活用法についても、幾つかの方策から実施可能な方法を選択して,その準備を開始した。脱落乳歯の回収時の抽出データの再現性の検証で、乳歯を用いた生化学的実験を実施し、さらに効率よく乳歯の初期齲蝕を検出するための光学的機器を試作した。宮城ユニットの参加者の居住地は、宮城県内でもう蝕多発地域であるので、多くのう蝕発生に関する情報と、う蝕発生に関連する網羅的な要因解析と全身への影響の調査立案に役立てることが出来、研究はほぼ実験計画通りに遂行した。
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Strategy for Future Research Activity |
エコチル調査の追加調査実施に関しては、宮城ユニット追加調査参加研究者の総意と、宮城ユニットセンターの運営方針とで協議して運営することとなり、質問紙の制作や実施時期等は合議の上実施されることとなる。本年度も、データ入力とデータベース更新により、登録データの解析を実施する。また、エコチル調査参加者の継続的な参加の意思の継続のために、子どもの保健情報を発信することが必要となり、子どもの歯の萌出と口腔保健の啓発は、調査を実施しながらエコチル調査や本調査に影響の無い限り行っていくこととなり、本年度は追加調査協力の謝礼として歯科保健用品を進呈することとなっている。本年度の研究は、宮城ユニットデータセンターに登録された質問紙調査や全身の発育や健康のデータを詳細に検索し、健康な発育を続ける乳幼児と口腔内に問題を抱える乳幼児の日常生活や身体状況を多変量解析で精査し、重要な因子の抽出を試みる。また、これまでの質問紙調査で収集が不足している東日本大震災時の生活に関する情報や家族の養育環境などについて、質問紙調査の計画を協議していく。これらの調査対象地域は、宮城県沿岸部と内陸部の両方の地域を含まれているので、より詳細な震災の生活への影響も調査していくこととなる。さらに、脱落乳歯の回収にて硬組織の発育状態を検索するための受け皿になる実験体制を確立し、その時の乳歯の保存状態評価と抽出する検査項目を確定する。本年度の研究では、この部分の精度を高める研究も追加で実施する。
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