2015 Fiscal Year Research-status Report
歯周病制圧を目指したプロバイオティクスとしてのバクテリオファージセラピーの開発
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15K15773
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久保庭 雅恵 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (00303983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 美樹 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20263303)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 口腔細菌叢 / 歯周病 / Filifactor alocis / Porphyromonas gingivalis / ビルレントファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、宿主特異性が高いことで知られるバクテリオファージをプロバイオティクスとして利用することで、病原性菌特異的な除菌法を確立し、健全な口腔細菌叢にプロファイルを回復させる新規治療法の開発を目的としている。 平成27年度は、近年のメタゲノム研究によって歯周病原性細菌叢のディスバイオシスへの関連が強く示唆されているFilifactor alocisを主たる標的として研究を進めた。まず、F. alocisビルレントファージの単離を可能とすべく、同菌の長期連続培養に適する培地の至適化を検討した。同菌が一定の成長フェーズ(対数増殖期)を維持しつつ長期培養が可能となる培地の検討を完了し、現在ファージ単離作業を進めている。 また、F. alocisが環境中にどのような代謝物質を放出することで細菌叢全体の歯周病原性を高めているのかについても、メタボローム解析により詳細に検討した。F. alocisの培養上清のアミノ酸一斉解析を実施したところ、同菌が菌体外に放出しているアミノ酸はD-アミノ酸が4種、L-アミノ酸が10種存在することが明らかとなった。また、F. alocisとの共培養下で、歯周病原性細菌叢のキーストン・パソジェンと表現される、Porphyromonas gingivalisの菌体内メタボロームのうち、尿素回路近傍の代謝物質濃度に大きな変動が生じ、アグマチン産生経路が活性化されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Filifactor alocisを連続培養する条件検討は終了したが、ビルレントファージの単離には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、Filifactor alocis、 Fusobacterium nucleatumを宿主とするビルレントファージの単離作業を実施する。単離が困難な場合は、口腔細菌叢が歯周病原性を獲得するまでの過程にF. alocis, F. nucleatum由来の代謝物質がどのように関与しているのかについての研究を進める。
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Causes of Carryover |
Filifactor alocisを宿主とするビルレントファージの単離作業が遅延しているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、Filifactor alocisに加え、過去にビルレントファージ単離の報告があるFusobacterium nucleatumを用いてファージ単離作業を進める。この段階で、大量の培地が必要となる。 ビルレントファージを単離した後、ファージが細菌叢中の標的菌種を特異的に排除する能力を検証する際に、共焦点レーザー顕微鏡を用いることから、そのために必要な高価な蛍光試薬を購入する。また、生物工学的手法を用いたビルレントファージのホストレンジの改善にも高価な試薬が必要である。
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Research Products
(11 results)