2015 Fiscal Year Research-status Report
口腔と全身の関係によるプロフェッショナリズムの臨床教育開発研究
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15K15780
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
渡辺 猛 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (50191771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
埴岡 隆 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (00144501)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯科医師 / プロフェッショナリズム / 生涯学習 / 社会貢献 / 職業満足 / 口腔医学 / 学習成果基盤型教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究枠組みの向上:本研究の枠組みを2つの学会で発表し、参加者の意見を伺い向上させました。日本歯科医学教育学会では、「社会貢献を志向する歯科医師は医学知識を獲得する意欲が強く職業満足度が高い」という仮説を提示した上で、歯学生の社会貢献志向を強化するための口腔医学臨床教育プログラムを開発する意義を説明したところ、2大学3教員の賛同を得ることができました。九州口腔衛生学会では、千葉大学医学部の学習成果基盤型教育に基づくラセン型カリキュラムに倣い、「口腔医学臨床教育プログラムの受講が歯学生のキャリア形成につながり、卒業者(歯科医師)の医学知識を増やしたいという意欲がプロフェッショナリズムの醸成につながる機序」を解説し、1開業歯科医師の賛同を得ました。2学会での発表に基づき、枠組み後半の「開業歯科医師の生涯学習・社会貢献・職業満足」の部分を向上させました。すなわち、①歯科医師が社会に貢献できることはたくさんあると思う(需要の認知)に始まり、②私は歯科医師として社会の役に立ちたい(社会貢献の意欲)、③私の知識・技術・態度は未だに向上の余地がある(知識不足の認知)、④私は知識・技術・態度を向上させるために学習し続けている(知識獲得の行動)、⑤私は社会に貢献するために働いている(社会貢献の行動)、⑥私は歯科医師として社会の役に立っている(社会貢献の評価)を経由して、⑦歯科医師であることに満足している(職業満足)に至るモデルです。 質問紙の作成と予備調査の実施:前記モデルに基づき、わが国の開業歯科医師の生涯学習と社会貢献に対する認知、意欲、行動および評価ならびに職業満足に関する質問紙を作成しました。そして、縁故のある開業歯科医師12名を対象に予備調査を行い、質問紙に対する意見をいただき、意見に基づいて質問紙を改訂しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度に全国の1,700歯科診療所の管理者(開業歯科医師)に対して、郵送法による質問紙調査を実施する予定でしたが、まだ実施していません。 理由①質問紙の作成の遅れ:わが国の開業歯科医師の生涯学習と社会貢献に対する認知、意欲、行動および評価ならびに職業満足に関する質問紙を作成するのに時間を要しました。特に開業歯科医師の職業満足に関する海外の先行研究において質問紙に用いられた多くの質問の中から本研究で用いる質問を抽出する過程で当初の想定以上に多大な時間を要してしまいました。 理由②調査客体の住所データ収集の遅れ:各都道府県が運営している医療情報ネットワークに登録されている合計約7万の歯科診療所の住所データを利用して調査客体を抽出し調査を実施する予定でした。これは、某県の医療情報ネットワークの利用規約で明示的に禁止されていなかったため研究実施計画に記載した次第です。この度、複数の都府県の医療情報ネットワークの利用規約を詳細に検討したところ、本研究の調査方法では医療情報ネットワークの管理者(都道府県)の著作権を侵害する行為にあたることが判明したため、調査客体の住所データの収集先を変更する必要が生じました。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、開業歯科医師の生涯学習・社会貢献・職業満足に関する質問紙調査を早急に実施します。全国の1,400歯科診療所の管理者に対して1回目質問紙調査を郵送法で実施します。1回目調査回答者(予測550名)に対して、1回目調査の1か月後に2回目質問紙調査を郵送法で実施し、本調査法の再現精度を測定します。2回目調査回答者(予測440名)に対して電子メールによる調査(通算3回目調査)を行います。 ついで、全国の歯科大学・歯学部の学生部長に対して、歯学生におけるプロフェッショナリズムの醸成と実践につながるカリキュラムへの意識に関する質問紙調査を郵送法で実施します。そして、これらの結果を基に、口腔医学臨床教育プログラムを開発します。 なお、歯科診療所の住所データ収集に関しては、NTTタウンページ(株)が有償で提供するタウンページデータベース(職業別電話帳)を利用します。再現精度を測定するため郵送法調査を繰り返し実施することと歯科診療所住所データを購入するために増加する経費は、1回目質問紙調査の調査客体を減らす(抽出率を1/40から1/50に低下させる)ことと、質問紙を小型化して郵送の単価を下げることによってまかないます。
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Causes of Carryover |
開業歯科医師の生涯学習・社会貢献・職業満足に関する質問紙調査において、質問紙の作成と調査客体の住所データ収集が遅れたため、平成27年度に調査を実施することができませんでした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
①歯科診療所の住所データをNTTタウンページ(株)から購入します。②全国の1,400歯科診療所の管理者に対して1回目質問紙調査を郵送法で実施します。③1回目調査回答者(予測550名)に謝品としてクオカードを贈呈し2回目調査を郵送法で実施します。④2回目調査回答者(予測440名)に対して謝品としてクオカードを贈呈し電子メールによる調査(通算3回目調査)を依頼します。⑤全国の歯科大学・歯学部の学生部長に対する質問紙調査を郵送法で実施します。⑥得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行います。
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