2016 Fiscal Year Research-status Report
口腔と全身の関係によるプロフェッショナリズムの臨床教育開発研究
Project/Area Number |
15K15780
|
Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
渡辺 猛 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (50191771)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
埴岡 隆 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (00144501)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 歯科医師 / プロフェッショナリズム / 生涯学習 / 社会貢献 / 職業満足 / 口腔医学 / 学習成果基盤型教育 / リスク検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
質問紙の作成と予備調査の実施:開業歯科医師の社会貢献・生涯学習・職業満足度に関する質問紙(案)に対して、縁故のある開業歯科医師12名から再度いただいた意見に基づいて再度改訂したものを九州口腔衛生学会で発表し、学会に参加した開業歯科医師から意見をいただきました。 調査客体の抽出:NTTタウンページ(株)のタウンページデータベース(職業別電話帳)から特別区群・指定都市群・保健所設置政令市群・その他の市町村群ごとに層化無作為抽出(抽出率1/50)を行い、調査の客体とする歯科診療所の住所データを購入しました。 福岡学園倫理審査委員会の審査を受け、開業歯科医師の社会貢献・生涯学習・職業満足度に関する調査研究を承認していただきました。 調査1の遂行:全国の1,379歯科診療所の管理者(院長)に対して、郵送法による質問紙調査を実施し、337名から回答をいただき(回答率24%)、回答者に謝品としてクオカード500円券を贈呈しました。ロジスティック回帰分析を行ったところ、開業歯科医師の職業満足度に強く影響を及ぼすのは「一日に診療する患者数」でなく「歯科医師として社会に役立ちたいという姿勢」(社会貢献意欲)や「歯科医師はずっと勉強すべきという認識」(生涯学習意欲)であることが分かりました。 再調査の遂行:質問紙調査の再現精度を測定するため調査1の回答者のうち106名に対して再調査への協力を依頼したところ91名から回答があり(回答率86%)、再現精度を示すカッパ値は25の質問のうち20の質問において0.4以上の「中程度の一致度」を示しました。 調査2の準備:調査1と再調査の回答者337名に対して電子メールを用いる調査2への協力を依頼したところ、106名から応諾の返信がありました(応諾率31%)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全国の歯科診療所の管理者(開業歯科医師)を対象とした質問紙調査を平成27年度に実施する予定でしたが、以下に示す2つの理由で作業が遅れ、28年度の終わりに実施しました。 理由①質問紙の作成の遅れ:開業歯科医師の社会貢献・生涯学習・職業満足度に関する質問紙を作成するのに時間を要しました。特に職業満足に関する海外の先行研究において用いられた多くの質問の中から本研究で用いる質問を抽出する過程で当初の想定以上に多大な時間を要してしまいました。 理由②全国の歯科診療所の住所データ収集の遅れ:各都道府県が運営している医療情報ネットワークに登録されている歯科診療所の住所データを利用する予定でした。これは、某県の医療情報ネットワークの利用規約で明示的に禁止されていなかったため研究実施計画に記載した次第です。27年度に、複数の都府県の医療情報ネットワークの利用規約を詳細に検討したところ、著作権を侵害する行為にあたることが判明したため、NTTタウンページ(株)のタウンページデータベース(職業別電話帳)から歯科診療所の住所データを購入するよう方針を変更しました。購入金額を抑えながら、特別区群・指定都市群・保健所設置政令市群・その他の市町村群ごとに層化無作為抽出する方法を開発するのに時間を要してしまいました。
|
Strategy for Future Research Activity |
5月:調査2への協力を応諾した開業歯科医師(106名)に対して、職業満足度に及ぼす要因の強さと医学知識の活用状況に関する質問調査を電子メールで実施します。 7月:全国の29歯科大学・歯学部の学生部長に対して、歯学生におけるプロフェッショナリズムの醸成と実践につながるカリキュラムへの意識に関する質問紙調査を郵送法で実施します。 9月:開業歯科医師からいただいた回答を参考にして健康示説教育モデルを開発し、本学4学年学生を対象とした社会歯科学講義において教育モデルを試行します。 11月:前記の健康示説教育モデルの試行で得られた結果を参考にして「口腔と全身の健康を目的とする動機づけ面接」の教育モデルを開発し、本学5学年学生を対象とした臨床実習において教育モデルを試行します。 1月:全国の歯科大学・歯学部の学生部長からいただいた回答と教育モデルを試行した結果を参考にして、学習成果基盤型教育としての「口腔医学に基づく臨床教育モデル<口腔保健版>」としてまとめます。
|
Causes of Carryover |
開業歯科医師を対象とした調査1の回答者数(337名)が当初の予測数(550名)より少なく、しかも調査2の実施が29年度に順延になったため、回答者への謝品に支出する金額が減りました。また、回答データの入力や電子メールでの調査を外部業者に委託する予定でしたが、個人情報の保護を徹底するため、研究者自身で行うように変更したため、これらへの支出がなくなりました。さらに、研究打ち合わせを、近場で開催された学会において行ったため、旅費がほとんどかかりませんでした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
①調査2に回答する開業歯科医師(予測106名)に対する謝品の贈呈、②「口腔と全身の健康を目的とする動機づけ面接」の教育モデルの中のロールプレイで用いるリスク検査機器ならびに教育モデルの試行を記録するためのAV機器の整備、③研究成果の公開、のために使用します。
|