2016 Fiscal Year Research-status Report
眼球運動と思考プロセスからみた熟練看護師のClinical Graspの特徴
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15K15786
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
齋藤 やよい 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (40242200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大黒 理惠 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (70510345)
大河原 知嘉子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (80632091)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 眼球運動 / 注視 / Clinical Grasp / 危険予知 / 熟練看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.模擬病床環境における危険予知を含むClinical Graspの研究を行った。 臨床経験10年以上で観察能力が優れていると推薦された看護師(E群)11名と、経験1年未満の新人看護師(N群)10名を対象に、ベッドサイドでの転倒・転落リスクの観察について、眼球運動計測装置を用いて比較した。課題は静止画とし、測定は注視時間、注視回数、注視項目数等とした。両群の観察時間、注視時間、注視回数に有意差はなかったが、注視した項目数と注視回数の分布には差があった。観察開始から5秒以内の0.2秒以下の瞬時の注視の比較からは、E群は危険有への注視を多くし、優先的にリスクの高いエリア・項目を注視することが明らかになった。この結果は昨年度の研究結果と一致し、E群のClinical Graspの特徴と考えられた。日本看護技術学会雑誌の原著として発表した。 2.昨年度は課題映像作成の条件を(1)静止画、(2)人の情報を含まない、(3)構成する要素は共通性の高いもの、(4)画像に関連する患者情報は事前に提示、を挙げた。しかしClinical Graspに人の情報は不可欠であり、これを含む救急場面の動画を試作・視聴してもらい、その後面接調査した。E群は常に患者の顔から視線を外さないよう心がけ、「なんとなく」周辺視野でその他の情報を収集し、顔から得た情報を起点として様々な情報を記憶していた。一方、N群は顔を起点とした情報は少なく、医療者の行動やモニターの数値、治療処置そのものに注目して情報を収集しようとし、記憶した情報量は有意に少なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の成果を元に、静止画の実験課題を完成し、視覚情報の基本的データとなる眼球運動計測装置による客観的データを整理した。またその研究成果を学会誌に発表した。さらに今後の研究課題とした人の情報の扱いについて、動画を用いたプレテストを実施し、人の顔への関心・観察の必要性の認識と注視点の一致、記憶情報の占める顔に関連する情報量の割合など、緊急場面におけるClinical Graspの特徴を示唆する結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はひきつづき人の情報を含む緊急性の高いアセスメント場面における注視の優先性(何をどれだけ注視するか)について検討を加える。さらに、面接調査により注視した内容がいかに記憶され活用に至るのかといった思考プロセスを明らかにする。
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Research Products
(2 results)