2015 Fiscal Year Research-status Report
バイオフィルム形成モデルの確立及び看護ケアにおけるカテーテル関連感染予防の検討
Project/Area Number |
15K15788
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 美奈 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (40622824)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 感染予防 / 感染看護 / カテーテル感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
2012年度の診療報酬改定でも在宅医療重視の方向性が示され、現在の高齢化社会とあわせてみても、今後ますます在宅医療は増加していくことが予想される。加えて、感染対策防止加算の見直しも行なわれ、地域の医療機関同士の連携による感染対策の推進を重要課題として提示している。このように在宅医療が進めば、在宅において経管栄養や気管内吸引といった医療行為を行うことも少なくない。また、地域における感染対策の重要性がうたわれていても、在宅においては栄養チューブや吸引チューブを複数回使用することは、感染リスクはあるもののコストの面から考えると避けることが難しいのが現状である。在宅で療養をおくる、特に高齢者の方たちに対し、これらのチューブ管理をより身近なもので、より簡単に行える方法を提供することは安全な在宅療養へとつながると考えられる。医療現場で起こるカテーテル関連感染で問題となるバイオフィルム形成を再現するために、 カテーテル素材として使用されているシリコンを用い、そのシリコン上にバイオフィルムを形成させる条件の検討などの基礎的検討を行った。 バイオフィルム形成細菌として、緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa)、表皮ブドウ球菌 (Staphylococcus epidermidis)を用いた。バイオフィルムの細胞外多糖体形成を促進するため、基本培地に0.5%グルコースを加えた培地を用い、シリコンディスク上でのバイオフィルム形成を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度、バイオフィルム形成細菌として、緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa)、表皮ブドウ球菌 (Staphylococcus epidermidis)を用いて、カテーテル上へのバイオフィルム形成について試みたが、安定したモデルの確立に至ることができなかった。培養条件の検討や用いるシリコンシートへの処理等さらに検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
シリコンシート上へのバイオフィルム形成について、培養条件や培地への添加物など検討を加え、安定したモデルの確立に努める。また、シリコンシートへのバイオフィルム形成後には、①オゾン水②クエン酸水溶液③食酢④高濃度カテキン含有緑茶⑤消毒薬として効果のある次亜塩素酸ナトリウム等の各種溶液を様々な濃度で加え、一定時間作用させ、バイオフィルムの効果的な除去方法の検討についても研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
本年度予定していた計画通り、研究結果が得られず、学会等の発表に至っていない。また、必要物品の購入についても、研究の進行にともなうため、当初の予定よりも使用額が減っている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、補助事業期間延長申請書を提出する予定である。本年度は、今回実験に使用する細菌培養に必要な培地、プラスチックプレートが必要である。また、培養や水溶液の希釈液作成において、プラスチックチューブ等は必要不可欠である。さらなる条件設定を行うため、多くの培地、プラスチックプレートが必要となる。細菌蛍光染色試薬、グラム染色試薬については、バイオフィルム形成を確認するためには必要である。
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