2015 Fiscal Year Research-status Report
災害レジリエンス向上に向けたコミュニティの保健医療BCPシステム開発
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15K15802
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
児玉 光也 横浜市立大学, グローバル都市協力研究センター, 特任助教 (20707971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
叶谷 由佳 横浜市立大学, 医学部, 教授 (80313253)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 事業継続管理 / フィリピン / 災害 / 保健医療機関 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、災害回復力(レジリエンス)の高いコミュニティの実現のため、「災害時事業継続管理(Business Continuity Management: BCM)」という概念に着目し、災害支援国である日本の事例と、災害が多いにもかかわらず、日常の防災対策が脆弱な開発途上国であるフィリピンを対象として被災地域における地域保健サービス提供者の現状を把握し、災害時における地域保健活動の継続・質の確保を可能にする災害対策の在り方を示すことを目的としている。 平成27年度は、BCMの視座より、先行研究として日本における阪神淡路大震災以降の文献レビューを通して、概念整理を行った。災害時の組織化と意思決定および指揮系統、情報の発信・共有の手段、緊急時のライフライン確保のあり方、自家発電装置/飲料水・治療用水の確保、資源の柔軟な活用のあり方、人材派遣/応援体制/近隣あるいは遠隔地の病院との相互扶助のあり方、地域資源の活用、行政や地域との連携・協働等が挙げられた。 また、フィリピンの研究協力者とともに、フィリピンで利用可能な構成要素を確認し、加えて、フィリピン台風30号(比名:ヨランダ)被災地域のうち、研究対象地であるフィリピン第8管区に位置する69自治体の保健医療施設被災状況を入手し、整理した。 現在、フィリピンにおいて、保健省担当者との協議により69自治体の保健医療施設のうちから対象保健医療施設を抽出しており、今後、ワークショップ及びフィールド調査を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象地域の文献情報及び現地研究協力者により得られた知見をもとに、調査研究の方法、及び介入に使用する手法の最終検討を行い、調査実施の準備は整った。 現地研究協力者の一人が、人事異動により研究関与が困難となったが、その後より本研究分野に知見を有す研究者に協力を得られることとなった。フィリピンでは平成28年5月が大統領選挙をはじめとする選挙シーズンであり、今後、現地対象保健医療施設の人事異動などの外部要因も考えられる。 これまでの研究結果を国際会議等を通して社会還元も順調に進めることができた。また、情報交換の場においては、今後の研究発表や報告にも多いに役立つ知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度であり、フィリピンにおいて、保健省担当者との協議により69自治体の保健医療施設のうちから対象保健医療施設を抽出し、ワークショップ及びフィールド調査を実施する。具体的には、保健医療施設における医師乃至看護師に対して、指揮命令系統、組織・活動編成、職員の働き方、それぞれの役割、行政及び地域の多機関との連絡・調整体制等に関する調査を行い、また、保健省第8管区担当者及び3次医療施設に対するキー・インフォーマント・インタビューを行う。 さらに、得られたデータを解析し、年度内にデータ集計を終える予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度は、現地研究協力者の人事異動等外部要因により、研究協力者及び研究対象地との調整に時間を要したため、研究開始時期が当初計画よりも遅くなり、物品費、旅費、謝金、その他、いずれも予定購入回数よりも少なくなったため、残金が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度から、本務の勤務地が沖縄に変わる。 研究の目的に沿い、平成28年度内に海外の研究対象地域におけるワークショップ及びフィールド調査を実施に伴い、平成27年度繰越額と平成28年度請求額を、主に物品、旅費、謝金に用いる。また、分析に際し物品購入、研究打合せにおける旅費及び謝金、研究発表における物品購入及び旅費に用いる。
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