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2016 Fiscal Year Research-status Report

マスク装着模擬患者によるシミュレーション教育「マスク患者演習」の開発

Research Project

Project/Area Number 15K15804
Research InstitutionNagoya City University

Principal Investigator

嶌田 理佳  名古屋市立大学, 看護学部, 准教授 (40331673)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
KeywordsMask-Ed / 学習効果 / リアリティ / 自信
Outline of Annual Research Achievements

マスク患者演習 (Mask-Ed)に対する学生の評価から学習効果と今後の課題を明らかにすることを目的として、N大学看護学部3年生19名を対象として「全身麻酔による胃全摘術の術後1日目の患者の離床」をテーマに臥床状態から病室内を歩行する過程の演習を行った。研究協力者(名古屋市立大学看護学部・山口知香枝氏)によるブリーフィングの後、研究者がHollywood Mask Masters社製のシリコン素材のマスクを装着して70歳代の男性患者に扮し、学生は4名ずつが看護師役となって患者の離床を進める演習を行った。次に、研究者がマスクを外し、対象者とともに15分間の振り返りを行った。その後、研究協力者がファシリテーターとなって6~8 人から構成されるフォーカスグループインタビューを行った。インタビュー内容は逐語録に起こして文章化し、質的帰納的に分析を行った。フォーカスグループインタビューにおける学生の発言からは、「外観が実際の患者みたい」「本当にいそうな人」「病棟で行っているみたい」「自然に声かけができる」など模擬患者およびシナリオの内容のリアリティが高く臨場感があることや、考えながら関わったことにより今後の実践への自信が得られたという学習効果が確認できた。
Mask-Edを開発したKerry Reid-Searl 教授らのグループはじめ、世界各国における先行研究ではMask-Edのリアリティの高さによる学習効果が報告されており、本研究でも同様の結果がみられたことは興味深い。一般的なシミュレーターを使用した看護技術演習には臨床現場における実践レベルに対してリアリティの限界があるが、Mask-Edの場合は学生が模擬患者とのやり取りを通して考えながら行動するという臨場感が効果につながっていた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

以下の理由によって研究計画を変更したため予定通りの遂行ではなかったが、変更した研究計画を実施したことにより、最終的には本来期待していた以上の成果を得ることができた。
研究計画では5名の学生ボランティアに対して前年度に作成したマスクおよびシナリオを使用して、Mask-Edのプレテストを実施する予定であった。そして、ここで得られた学生の反応や感想、評価を基に研究者間で検討してシナリオを修正することとしていた。しかし、Mask-Edの開発者や海外協力者からの助言を受けて、実際には80名の受講生を対象とした授業において呼吸困難を訴える患者に扮した研究者が実演を行うこととし、そこで得られた反応を評価して今回報告した研究につなげた。
また、研究計画では、シナリオ完成後に、学生30名を介入群と非介入群に分けて周手術期看護に関する内容の演習を実施する予定であったが、科目担当者の変更に伴って授業方法を変更する必要性が生じたために計画どおりに実施することはできず、研究計画を変更して今回報告した研究を実施するに至った。
以上のように、研究計画に沿って実施できたとは言えないが、グループインタビューによる研究に変更したことにより、学生の反応を学習効果として検証することができ、最終的な成果は大きかったと評価する。

Strategy for Future Research Activity

最終年度である平成29年度は学術集会での発表や学術誌への投稿を通して、広く社会へ公表を行う。また、開発者のKerry Reid-Searl 教授の研究グループと本研究の成果について検証を行い、文化的な背景による成果への影響の確認を行うとともに技法の強化を図る。本技法の普及に当たっては2つの課題がある。まず、現在、必須のツールであるマスクは海外のメーカーに制作を依頼する特注品であり、ある程度の予算が確保できなければ導入が難しい。また、技法の実施にはテクニックと開発者の許諾が必要となっており、簡単に普及させることは困難な状況がある。テクニックの修得には開発者によるワークショップに参加するなどのプロセスが必要であり、現在、日本国内で本技法を実施できるのは研究者のみである。本技法を広く普及させるための方法を検討していきたい。

Causes of Carryover

研究計画を変更したことから、本年度は研究倫理審査をはじめとした実施準備や研究実施が中心となったことから、予定以下の支出にとどまった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度は研究成果を国内外の複数の学会において発表する計画であり、その際の参加費および旅費として、さらには専門誌への投稿料としての支出を予定している。また、新たなキャラクター(模擬患者)を開発するためのマスクの購入や海外の研究者との意見交換も計画しており、その際に必要となる経費としての支出を計画している。

  • Research Products

    (2 results)

All 2017 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Int'l Joint Research] Central Queensland University(オーストラリア)

    • Country Name
      AUSTRALIA
    • Counterpart Institution
      Central Queensland University
  • [Journal Article] MASK-EDの教育技法と学習効果2017

    • Author(s)
      嶌田理佳
    • Journal Title

      名古屋市立大学看護学部紀要

      Volume: 16 Pages: 31-36

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2018-01-16  

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