2016 Fiscal Year Research-status Report
後進への育成役割を担う看護師の世代継承性を測定するための尺度開発
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15K15806
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
藤原 史博 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (00584210)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 世代継承性 / 尺度開発 / 看護師 / 育成役割 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、平成27年度に実施した先行研究レビューに基づいて2系統に大別した、世代継承性の内容面と機序面の観点から、下位尺度と各質問項目の試作をおこなった。それに先立ち、もともと研究計画に挙げていた専門家間討議を実施し、経営学のうち組織行動論を専門とする研究者3名と、看護学を専門とする研究者2名からスーパーバイズを受けた。個々のスーパーバイズでは、これまでの分析上の観点としては上っていなかった新規的な観点の付与と、従来までの分析における解釈結果に対して捉え方が異なる観点の付与がなされた。これにより部分的な再分析が必要となったため、当初の計画に追加した分析を実施した。結果的に世代継承性概念の一層の充足がもたらされ、尺度を構成する下位尺度ならびに質問項目について網羅的かつ構成概念としての妥当性の向上に寄与した。 以上の取り組みに伴い、結果的に、計6つの下位尺度に分類された。すなわち、将来的な世代継承性の発現に寄与する成年前期に基盤となる経験である「受けた育成への肯定的意味づけ」「絶えざる自己研鑽」「育成者としての葛藤克服」の3つの下位尺度と、キャリア中期における世代継承性の発現である「恩義の世代超越的返済」、定年退職を現実的に控えたキャリア後期での世代継承性の発現である「後継者への職位の発展的委譲」「組織固有のDNAの伝承」である。それら下位尺度ごとに質問項目を試作し、現時点で約80項目の質問項目が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初のプロポーザルに掲げていた専門家間討議では、多くのスーパーバイズを得ることができ、大変有益な改訂機会となった。一方、それぞれのスーパーバイズの内容を従来までの研究結果へと統合してゆく過程では相応の期間をかけて改定することとなった。これにより、結果的に、当初に予定していた小規模の予備的調査を行うには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、まず、現時点までで挙がっている質問項目について、下位尺度ごとに網羅できているかとの観点から追加的な項目が存在しているかの有無について検討する。次いで、試作版の回答可能性や識別力の有無を明らかにして質問項目を取捨選択し精錬させたうえで予備調査を実施する。結果に応じて尺度を精緻化させ、尺度として完成させる。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、本来、小規模の予備調査を行う予定であったが、専門家間討議による複数のスーパーバイズに対する改訂に相応の期間を要したため、予備調査の段階への到達に至らなかった。これにより予定よりも定額の執行となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は予備調査ならびに尺度の精緻化のために量的調査を実施するため、それに係る印刷・郵送費、回答の入力や集計のための人件費として計上する。
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