2015 Fiscal Year Research-status Report
原発災害による生活の拠点の移動が及ぼす子どもを持つ母親の健康支援のモデル案の構築
Project/Area Number |
15K15815
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
内木 美恵 日本赤十字看護大学, 看護学部, 講師 (50712543)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 原発災害 / 避難生活 / 母親 |
Outline of Annual Research Achievements |
「研究1:日赤浪江町健康支援事業で収集している健康に関する調査結果のデータのうち、子どもを持つ母親のデータを抽出し、母親の移動先での生活と健康の背景を明らかにする。」これについては、平成24年10月から平成26年10月のデータのうち、量的なデータに関して集計を行った。記述部分に関しては、現在分析を進めている。調査を開始した発災後1年目は、借り上げ住宅であるアパートに核家族で住んでいる母親が多かった。発災後4年目、母親達は、借り上げ住宅から自身で借りた家または、新しくいわき市に家を購入していた。避難後に妊娠する母親、子どもが幼稚園や小学校に通い出していた。 「研究2:“I市に避難中のM町民健康・生活調査”結果から、継続的な支援が必要だと判断した母親のデータを分析し、課題を明らかにする。」これについては、4名の母親にインタビューを行った。また、日赤浪江町健康支援事業で実施している母親と子どもの交流会の中でもさまざまなことが語られていた。インタビューも重要であるが、困難と感じている点の多くは交流会で語られていることが多かった。そのためインタビューだけでなく、交流会での様子での参与観察のデータも活用することが重要であることが明らかになった。データが十分でないため、次年度も継続して収集を行い、分析していく予定である。 その他に、チェルノブイリ原発事故の被害地域において、被災者である当時乳幼児を持っていた母親をドイツの人道団体、赤十字関係者を通じて対象者を探しているところでるが、今のところ、まだ該当者は見つけられていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究2について、継続的な支援が必要だと判断した母親を数人特定し、交流会で参与観察、インタビューを行った。いわき市までの避難中の体験は語られていたが、いわき市での避難生活の部分が話されることはなかった。そのため、十分なデータとはならなった。次年度も交流会での参与観察、インタビューを行いデータの収集を行い、課題を抽出する予定である。 チェルノブイリ原発事故からの被害地域において、被災者である当時乳幼児を持っていた母親を探しているところであるが、当時乳幼児を持っていた母親と限定しているため、該当者を探すことに困難を要している。現在、子どもの考え方を18歳未満にするなど、対象者を広げて探すことを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、研究2について、継続的な支援が必要だと判断した母親の交流会での参与観察や、インタビューを昨年度に引き続き実施する。 また、予定している「研究3:福島県の原発災害により生活の拠点を移動し、困難な体験をした子どもを持つ母親に、発災後4年目(平成28年)の生活や健康に関する体験や思いなどの語りをナラティブ分析し、課題の背景と要因を明らかにする。」を実施する。 加えて、チェルノブイリ原発事故からの被害地域において、被災者である母親を探し、見つかれば、インタビューを実施する。
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Causes of Carryover |
平成27年度はデータの入力が主であり、質的データの分析を連帯研究者と行うことは少なかった。そのため、現在自身が所有する機材で活動が可能であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、データの分析を行うため、連帯研究者との意見交換を行い分析の洗練や、検討会を行うため印刷機やPC等をそろえる予定である。また、チェルノブイリ原発事故からのデータを得るための該当者が見つかれば、インタビューに行く予定である。
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