2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Building a Health Support Model for the Mothers with Children who were Forced to Relocate due to the Nuclear Power Plant Disaster
Project/Area Number |
15K15815
|
Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
内木 美恵 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (50712543)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 原発災害 / 避難生活 / 母親 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の研究計画としてあげた研究4:「チェルノブイリ原発事故災害により生活の拠点を移動した子どもを持つ母親の生活や健康に関する課題を明らかにし、福島の例との共通性や特異性を明らかにする。」に関する研究活動を行った。 まず、原発事故により避難した母親の長期的な健康課題やその原因を知るために、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故により避難した母親の健康課題に関する文献検討を行った。抄録のない文献などを除外した8文献を対象とし、先行研究は発災から9~28年後に研究されていた。それらの研究結果からは、原発事故により避難経験のある母親は、心理的な影響を受けており、ストレス、抑うつ傾向、苦悩があることが明らかになった。しかし、その原因は明らかにされていなかった。 次に、10月にウクライナ国を訪問し、チェルノブイリ原発事故および資料館を訪問した。チェルノブイリ原発事故周辺地域は放射線量が、その他の地域と同レベルになりつつあり、自然界では回復の兆しが見られた。しかし、避難住民の子どもの中には、自身の健康に関して放射線が影響していると考えている者もいた。福島原発事故に関しても検討が必要である。また、キエフ周辺に避難をしてきた被災者の母親たち10人にインタビューを行った。集団で同じ地域に移動してきている母親達は、友人関係やコミュニティーが継続していた。新たな地域の住民との関係も多少の苦痛はあったが、引きこもりになるほどではなかった。しかし、集団移動ができず、個人的に避難してきた者は、新たな地域で溶け込むために時間を要していた。福島原発事故での避難した母親に関して、今後も経過を見ていきながら必要時、支援をおこなうことが必要である。
|