2017 Fiscal Year Research-status Report
病的ギャンブリングに関連する要因とリスク判断のためのアセスメントツールの開発
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15K15831
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
新井 清美 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 助教 (50509700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 展彰 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10251068)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ギャンブル障害 / リスク要因 / 早期発見 / 早期介入 / 予防教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、ギャンブルに晒される機会が多い集団である、遊技を運営する会社に勤務する者のギャンブル実施状況とギャンブル障害の実態を明らかとすることを目的とし、質問紙調査を行った。 2017年11~12月に従業員785名に対して質問紙を配布し、667名(回収率84.97%、男性335名、女性291名、無回答41名)から回答を得た。調査内容は、経験したことのあるギャンブルの種類、初めてギャンブルを経験した年齢、1日の使用時間、今までに1日に賭けた金額の最高額、SOGS(the South Oaks gambling Screen、以下SOGSとする)、ギャンブルをする動機、ギャンブル障害・治療や相談場所の認知、ギャンブル障害の予防や早期発見で取り組んでいること、問題が生じた際の相談の希望の有無である。 週に1回以上経験したことのあるギャンブルで最も多かったのは「パチンコ(パチスロ等も含む)」で189名(28.3%)であり、これまでに経験したことのある者を含めると519名(77.8%)となっており、一般成人における経験者の8.5%(総務省,2016)より9倍多くの者が経験していた。また、SOGSの平均得点は2.82点(SD3.23)であり、ギャンブル障害の疑いがあると判定される5点以上の者は139名(25.7%)みられ、これまでにギャンブル障害が疑われる状態になったことがある者は約320万人(一般成人の3.6%)、最近同様の状態だった者は約70万人(一般成人の0.8%)(厚生労働省研究班,2017)より高い割合を示した。さらに、SOGS5点以上の者は5点未満の者に比べてギャンブルをする動機の全ての下位尺度得点、ギャンブル障害の認知、相談機関や治療を行う場所の認知、パチンコ・パチスロにのめり込んでいると感じたお客様を目にした経験や言動を見聞きした経験が高い(多い)結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画は、一般人口に占めるギャンブル障害が疑われる者の実態把握のためのインターネット調査や、遊戯施設等ので調査であった。しかし、一般人口への調査は他の研究班により実施されたため、ハイリスク集団と考えられる遊技を運営する会社の従業員に対して調査を実施し、ギャンブル障害のリスク要因を検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、ギャンブル障害の対策に役立てるために、得られた成果を学会発表や論文投稿をすることで、研究で得られた成果を社会に還元する。さらに、必要に応じて追加調査を行う。
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Causes of Carryover |
研究期間中である2016年12月に、統合型リゾート(IR)整備推進法が可決・成立したことで、本研究の重要性が再認識された。このことを受け、研究期間を延長し、本研究で得られた成果をギャンブル障害対策に役立てるべく、学会発表や論文投稿、必要に応じて追加調査を行うために次年度使用額が生じた。
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