2015 Fiscal Year Research-status Report
術後呼吸器合併症予防のための肺理学療法とアロマセラピーの融合的実証研究
Project/Area Number |
15K15832
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Research Institution | Mie Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
玉田 章 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (50252151)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 術後 / 無気肺 / 呼吸器合併症 / 深呼吸訓練 / 換気機能 / 呼吸筋力 / 呼吸抵抗 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では深呼吸などの肺理学療法とアロマセラピーとの組み合わせによる術後の呼吸器合併症予防を確立することを研究目的としている。平成27年度はその第一段階として深呼吸訓練による術後無気肺予防への影響について明らかにすることを目的に、スパイロメーターによる換気機能の測定に加え、自己排痰能力と関係があるとされる呼吸筋力や呼吸抵抗についても測定し、多面的にその影響を検討した。 健康な女子学生を対象に、深呼吸訓練を行わない対照群(13名)、深呼吸訓練を行う実験群(15名)の2群に分けて実験を行った。実験群の深呼吸訓練は、腹式呼吸法による深呼吸とし、1セットにつき10回、1日4セットを10日間行った。両群ともに、実験開始前と10日目に換気機能(VC、FVC、FEV1、FEV1%、PEF、V50)、呼吸筋力(MEP、MIP)、呼吸抵抗(R5、R20、X5、R5-R20、Fres)を測定した。なお、本学の倫理審査会の審査・承認を受けた後に実験を行った。 結果は、対照群についてのすべての項目において実験開始前と10日目の間に有意な差は認められなかった。実験群のVC、MEPについては、実験開始前に対し10日目は有意な増加が認められた。しかし、呼吸抵抗を初め、その他の実験群の測定項目については有意な差は認められなかった。対照群の換気機能、呼吸筋力、呼吸抵抗の全ての測定項目において実験前後での有意差がなかったことから、実験群の測定結果は、深呼吸訓練の影響に基づくものであると考えられた。実験群の有意差がみられなかった多くの測定指標については、被験者とした女子学生に換気機能、呼吸筋力、呼吸抵抗に問題がなかったことから有意差が生じなかったと考えられた。しかし、実験群のVCとMEPが増加したという結果は、深呼吸訓練によって術後無気肺発生要因である肺容量の増加や、自己排痰能力の向上が示唆されると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、「①健常な被験者を対象に通常の深呼吸訓練での換気機能と呼吸抵抗を評価する。」、「②健常な被験者を対象に、『呼吸器強壮作用』等があるとされるアロマオイルを使用し、複数のアロマオイルの中から最も換気機能や呼吸抵抗の向上を示すものを同定する。」、「③同定したアロマオイルを用いて臨床試験を実施し、アロマオイルを使用した術後の深呼吸訓練の効果を検証する。」の3段階で構成している。本年は実験開始年であり、このうち①について終了し、おおむね順調と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は本実験の第2段階の研究に移行する。健常な被験者を対象に「呼吸器強壮作用」等があるとされるアロマオイルを使用し、複数のアロマオイルの中から最も換気機能や呼吸抵抗の向上を示すものを同定する。なお、「呼吸器強壮作用」等を有するアロマオイルが複数存在するため、同様の組成のオイルを混合して実験に使用することとしている。アロマオイルによる呼吸器系への良好な影響が見いだせれば、平成29年度には、本研究の第三段階である臨床試験を実施する予定である。
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