2016 Fiscal Year Research-status Report
急性期から回復期の高次脳機能障害者への精神症状対応モデルと介入プログラムの開発
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15K15842
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Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
粟生田 友子 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 病院(併任研究所), 看護部長 (50150909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川里 庸子 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 病院(併任研究所), 看護師 (90597907)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高次脳機能障害 / 精神症状対応 / 急性期 / 回復期 / 患者家族 / 介入モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、急性期から回復期にある高次脳機能障害患者の日常生活場面にみられる精神症状への対応技術を明確化し、生活自立を目指す患者・家族への介入プログラムを開発することを目的としている。 研究は2段階に分けて行っており、初年度は、文献検討により「神経心理学モデル」に基づいた12種類の介入技術を分類し、急性期からの症状に対して症状対応技術を分類し、行動モデルとして記述した。(これは2016年度に出版した書籍の中で公表した。) 本年は、臨床で実際に看護師が用いている技術の適用状況、使用実態を明らかにすることを目的として、現場で用いている精神症状対応について探索した。方法は、回復期病棟で勤務する臨床看護師に対して面接法を用い、質的にデータを収集し、それをすでに構成化した12項目の症状対応技術に当てはめ、看護師が技術をどのように意識化し、実践しているかを抽出した。 その結果、回復期にある高次脳機能障害の症状対応技術として語られた内容は、一人当たり5~10種類の技術の範囲にとどまっており、対応技術として意識化されているものは少ない状況にあった。とくに困難に感じる患者への対応については、12種類に段階付けた技術とは異なる構造を持ち、①安楽に危険のない状態を維持するケア、②刺激の調整、③社会的行動障害の引き金となる行動の特定と対応(これは独立して論文として公表した)、③頓服薬の使用等、④クールダウンさせるためのタイムアウト、⑤行動療法に準じた正の強化、⑥不適切な行動の指摘、⑦行動への対価を与えるであり、行動療法的介入によって、介入内容を語る傾向があった。 今後、実際に用いている対応技術が異なる構造を持つ可能性があることを踏まえ、臨床のケア場面での参加観察、あるいは12項目で構成した質問紙を用いて、実態を明らかにすることで、看護師が臨床で用いている精神症状の対応モデルと介入プログラムの作成につなげる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究者の異動に伴い、本来臨床での業務量が著しく増加した。またそのために新たなフィールドでのデータ収集準備が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
新フィールドでの倫理審査等を新たに受ける準備を行う。 その結果を待って、臨床現場で実際に看護師が用いている精神症状への対応技術の明確化を進め、研究を進める予定にある。
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Causes of Carryover |
年度後半に、研究者自身の所属の異動にかかわる準備状態が生じたこと、並びに共同研究者の異動と研究協力者の異動がそれぞれ生じたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新所属機関での研究準備体制を早期に整えて、新フィールドにおける研究継続に取り掛かる。 すでに研究途中にある前節調査でのデータ収集は継続し、最終的な調査を新フィールドで進められるように分けて進める。そのための質問紙作成費用、フィールド開拓のための旅費、謝金として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)