2015 Fiscal Year Research-status Report
アトピー性皮膚炎患児と家族に対する看護師PAEの教育効果の評価指標の検討
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15K15850
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
杉浦 太一 岐阜大学, 医学部, 教授 (20273203)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 小児アレルギーエデュケーター / スキンケア指導 / 患者教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
8月にアレルギー専門医である小児科の医師からスーパーバイズを受けた。結果、PAE(小児アレルギーエデュケーター)の手技に対して保険点数を算定できる方向性ではなく、PAEが採用されている外来等でスキンケア指導がなされた場合に保険点数が算定できるような方向性が望ましいことが確認された。 入院場面や外来場面で、どのような指標でスキンケア指導の効果を見ているかを明らかにするために、2015年11月に文献検討を行った。検討の対象は、医学中央雑誌web に2001年~2015年に登録された論文とし、キーワードは、アトピー性皮膚炎、教育、効果、評価、指導、を組み合わせて検索した。検索した論文や会議録を熟読し、「人以外を対象としているもの」「二重投稿論文」「教育や指導を行っていない論文」「教育や指導の効果判定指標について記述の無い論文」を削除した結果、原著論文(総説含む)36件と会議録18件の54件を文献検討の対象とした。 小児科または皮膚科が主となって研究したものは、それぞれ26件で、両者以外が研究したものは2件であった。また、皮膚科が研究したものの57.7%は成人患者だけを対象としていた。教育の効果指標として皮膚所見を取り入れていた研究は34件(63.0%)あり、その内、SCORADで評価した研究は12件(35.3%)で、SCORAD採用の論文は、小児科では2010年以降、皮膚科は2004年以降に発表されていた。療養行動やセルフケア行動の行動変容(行動継続を含む)を評価指標とした研究は13件あり、その中で小児および養育者を対象としたものは8件となっていた。学童期から思春期を対象とした研究では行動変容が評価指標となっていた。 効果の指標に小児のQOLを取り入れていた研究は無く、養育者のQOLを調査したものだけであった。質的にどのような評価指標が必要か、検討を重ねていく必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
6月から7月に行われた学術集会会場における情報収集と、アレルギー専門医からスーパーバイズを受ける予定であったが、予定していたアレルギー専門医の仕事の都合で8月末にずれ込んでしまったことと、その後に開始した文献検討に時間がかかってしまったことが進捗状況の遅れにつながってしまった。平成27年度の学内における立場上、学内運営に費やす時間が増え、当初予定していた研究に費やせるエフォートが確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究組織は研究代表者1名だけであったが、遅れを取り戻す意味も含めて、2名体制の研究組織に変更できるよう、他の研究者と交渉を行う予定である。平日に聞き取り調査に出向く(出張する)ことが難しいため、土日や9月以降の小児アレルギー関連学会の場を有効活用できるようにする。 7月に行われる小児アレルギーの学術集会において、平成27年度に予定していたPAEからの聞き取り調査を実施できるように計画を進行中である。また、倫理審査等の日程で、7月に聞き取り調査を実施できない場合は、学術集会の場以外で聞き取り調査の場を設定して行っていく予定である。平成28年度の研究実施計画で予定していた患者教育評価ツールに関しては、平成28年度末から平成29年度前半までに終える予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画に遅れが生じ、PAEへの聞き取り調査を行えなかった関係で、旅費や研究協力してもらうPAEとの会議費用等が執行できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に実施できなかった聞き取り調査や会議に要する旅費や会場費に助成金を使用する。また、平成27年度に購入を予定していたSPSSについて、聞き取り調査の状況を踏まえながら、平成28年度後半以降に購入を予定している。また、研究組織が1名から2名になった場合、共同研究者のエフォートに合わせた助成金の配分を行う予定である。
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