2015 Fiscal Year Research-status Report
演劇を用いたシミュレーション授業と教材開発に関する研究
Project/Area Number |
15K15877
|
Research Institution | St. Mary's College |
Principal Investigator |
松原 まなみ 聖マリア学院大学, 看護学部, 教授 (80189539)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下部 信 九州大谷短期大学, その他部局等, 講師 (30390298)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | シミュレーション / 母性看護学 / 家族看護学 / 授業研究 / 授業評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、看護教育における対象理解を促すための教授戦略として『演劇』を教材としてシミュレーション授業を実施し、その効果を評価すること、さらには、生きた教材である『演劇』を看護教育に活用することの可能性について探求し、新しい看護教育の教材開発につなげることである。 本研究では「演劇」という教材を看護教育に取り入れるという新しい試みを行うため、1年目(2015年度)は、授業評価研究の先駆者を講師として招聘して学内研修会を開催するとともに、教材化に関するスーパーバイズを受けながら研究を進めた。 初年度(2015年度)は学習者の特性別(分析視点1)の授業評価として、①看護学生/②助産学生対象に演劇を教材とした母性看護学/助産学の授業展開を行った。①看護学生を対象とした授業評価研究として、演劇鑑賞後のグループワークの感想を質的・記述的に分析した結果、看護学生は初めての育児に取り組む初産婦と家族について、【育児は大変】【産後の母親はつらい状況にある】【育児には周囲の理解や支えが必要である】【家族にはそれぞれの立場によりいろいろな思いがある】【世代間に育児に対する考え方に違いがある】【家族間の調整や家族全体に対する支援が必要である】などの気づきを得ており、母子とその家族の生活状況について実感を伴って理解していた。また、家族メンバーそれぞれの立場や思いに共感し、母性看護上の課題に気づいており、授業目標であった「母性領域における対象理解ための学生の“気づく”能力を高めること」を目標とした演劇をという教材を用いたシミュレーション授業は一定の効果が見られたと評価できた。②助産学生対象では、紙面事例と演劇による授業の比較を行い、シミュレーション授業は、家族アセスメントにおいて重要な家族の関係性の把握など、紙面上の家族では得られにくい教育効果を持つことが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、最終年度の3年目(平成29年度)に計画していたDVD教材開発に関しては、医学教育教材作成企業とのコラボレーション企画が成立し、産学共同体制で①「母性看護のためのアセスメント事例集Vol.1 初めての赤ちゃんを育てる:産科退院後の生活」②「母性看護のためのアセスメント事例集Vol.2 初めての赤ちゃんを育てる:家族との生活」((株)医学映像教育センター 平成28年3月発刊)として看護教育用視聴覚教材が完成した。 学習者の特性別(分析視点1)の授業評価として実施した①看護学生対象の母性看護学授業展開の評価は『シュミレーション授業の教材に演劇を用いた母性看護学演習の効果-』(聖マリア学院大学研究紀要第6巻 平成27年)として報告した。②助産学生対象の授業評価研究については、平成27年5~6月の助産学生に対して授業実践を行い、その結果は第23回日本家族看護学会(平成28年度8月於山形)において『家族看護学の授業評価~紙面上の家族とシミュレーション授業による家族アセスメントの比較』として発表を予定している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目(平成28年度)には、当初の計画通り、第18回日本母性看護学会学術集会時に、参加者(母性看護・助産学教員ほか)を対象に演劇を用いた模擬授業を行い、ピアレビューによる授業評価として参加者にアンケート調査を実施する。 予定より早くDVD教材が完成したことにより、3年目に予定していた教材提示方法別(分析視点2)の授業評価を前倒しして実施し、同じシナリオの演劇とDVD教材を用いた授業を展開し、両教材の教育効果について授業評価を行う予定である。 学習者別(分析視点1)評価に関しては、当初予定していた(看護学生/助産学生/臨床助産師のみならず、乳幼児教育にかかわる専門課程(保育士・幼稚園教諭養成課程)での授業評価について、教材開発チームの共同研究施設の短大ほか、看護大学においてDVD教材を活用した授業を実施する予定であり、開発したDVD教材を活用した授業展開モデルと合わせて母性看護学教育および家族看護学教育展開方法の普及・啓発を図る。 教材開発に関しては、周産期から産後の育児期への移行期における家族の生活を理解し家族支援を考える3巻シリーズとして計画しており、「母性看護のためのアセスメント事例集Vol.3 初めての赤ちゃんを迎える:産科入院中の生活」については平成28年度中に作成・発刊予定である。
|
Research Products
(2 results)