2016 Fiscal Year Research-status Report
精神障害者家族の孤立化を防止する社会的自立支援モデルの開発
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15K15882
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中村 勝 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30306237)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 精神障害者家族 / 社会的孤立 / 家族機能尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に継続して精神障害者家族を対象に家族機能尺度の実施しサンプルの拡大を試みた。回収したデータを分析するかぎりでは初年度の結果とほぼ同様であった。第1因子(配偶者との相関関係)では特に目立った内容はなく、第5因子(仕事以外の自分の時間)では精神障害者からの影響が推察できる偏りが生じていた。このことから家族と家族員(精神障害者)との関係では特にかかわり方における何らかの問題が内在している可能性が考えられた。第2因子(知人や身内との相互関係)では周囲からのサポートが得られていないか不足している状況が把握され、第4因子(病気や心配事)では周囲に相談できないか、していない状況が推察され、家族と上位もしくは下位システム間の有機的な関係が阻害されている状況が考えられた。第3因子(経済活動)では家族が何らかの不満もしくは不自由さを抱えており、第6因子(予想外の社会的イベント)でもほぼ同様であることから家族と地域社会とのかかわりでは孤立している状況も否定できない現状にあることも推察された。サンプルを増やしたことにより結果も鮮明化してきたが自由回答型質問では分析が十分とはいえない状況がある。精神障害者家族の定例会を通じて支援施設の専門家と家族の孤立化を防止するための意見交換を実施した。一部、有益な意見も聴取できたが、参加した家族の多くは孤立化を防止できた家族でもあり、既に指摘されてきた視点や家族会の重要性を改めて訴える意見が多い結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
郵送法(留め置き法)でのデータ回収が困難であったため、面接できる際にデータ収集を依頼する方法に改め、有効回答数を増やすことができた。しかし家族の孤立化を防止するための意見交換(聞き取り)では、参加する家族が過去に孤立化した経験を持たない者も多く、どのような家族状況が孤立化しやすいかが把握しづらい状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き研究対象者数を増やしデータ収集を行うこと、さらに精神障害者家族の孤立化を防止するための意見交換を家族や地域連携協力機関の関係者と幅広くおこない、地域全体で精神障害者家族の孤立化を防止する有効なメカニズム分析をおこなっていくことが主眼となる。今回は家族会、支援団体が主であったが、それらを含め、行政機関や精神科病院の専門家を含めて意見交換を実施していく。
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