2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15887
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Research Institution | Sapporo City University |
Principal Investigator |
村松 真澄 札幌市立大学, 看護学部, 准教授 (50452991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三谷 篤史 札幌市立大学, デザイン学部, 講師 (70388148)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 口腔シュミレータ / 口腔ケア / 教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,人の顔モデルの口腔内にセンサを配し,ケアの軌跡をデータ化してコンピュータに送ることで,ケアの手順が記録できる口腔ケアシミュレータシステムを開発することを目的とする. これまでの研究において開発してきた歯列モデルに口腔内粘膜を付加し,より人間に近いモデルを開発することを目的とした.ここでは口腔内粘膜の中で,飲食や発話など,口が有する主要な能力に関連する舌モデルの開発を試みた.はじめに,3D-CADであるSolidWorksを用いて舌のソリッドモデルを作成し,造型機を用いて舌モデルを制作した.ここでは特に,ゴム系の柔軟材料による造形モデルとともに,舌モデルに対する注型用型を作成し,人肌の柔らかを有するウレタン樹脂を注入することで得られる注型モデルをそれぞれ制作し,それらの比較を行った.その結果,注型モデルの方がより適切な柔らかさと感触を持たせることが可能であることが分かった.次に,制作した注型モデルに適用可能なセンサシステムを検討した.舌モデルの表面にセンサを取り付けた場合には,柔らかさや感触に影響をおよぼすため,舌の内部にセンサを取り付けることとした.ここでは,舌の微小な変形を検出可能なディテクトスイッチを採用することとした.これらの手法によって開発した舌モデルに対して,研究代表者による基礎実験を行った. ここでは,普段の舌ケア時に舌に加える力と同等の力を舌モデルに加えたときに,舌内部のセンサが反応するかどうかを検証した.その結果,標準的な力によってセンサが反応したため,本モデルの構成は妥当である.本研究成果より,3Dデータを用いて人の舌モデルを制作可能であることが示された.その一方で,本研究に用いたディテクトスイッチは,ある基準以上の力が加わったかどうかを測ることは可能であるものの,過剰な力が加わわったかどうかを判別できないため,より適したセンサの選定が今後の課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ここでは,平成27年度の研究計画に即して述べる. 「1.看護用シミュレータを用いた教育環境の現状把握」については,視察予定であった米国の医療施設との時間調整が上手くいかず,平成28年にずれ込むことになった.現在平成28年10月頃に訪問できるように調整中である. 「2.口腔ケアシミュレーション用口腔部モデルの制作方法検討」については,3D-CADによりソリッドモデルを作成し,柔らかい材料を造形可能な造型機により造形する方法や,また注型用型を作成して人肌ゲルを用いて注型する方法を検討した.現在は歯列モデルおよび舌モデルの開発に成功しており,現在はそれ以外の口腔内粘膜の造形方法を検討中である. 「3.歯ブラシ(及びスポンジブラシ)の動きを感知するセンサ内蔵歯の試作を通した検討」については,頭蓋骨の3Dソリッドモデルを元に積層造型機で出力した歯列モデルに圧力センサを貼り付けた口腔ケアモデルを制作してプレ実験を行い,ブラッシングの検出ができることがわかった.一方圧力センサは一般的に点接触による圧力を検出するのにたいし,歯ブラシは微小な点の集合体による接触,すなわち面接触に近い圧力であるため,精度が得にくいことが分かった.現在はより適切なセンサを検討している. 「4.プレ実験を通した試作システムの検証と口腔ケアシミュレータへ発展させるための検討」および「5.シミュレーション教育のシナリオを作成する.(村松・樋之津)」の2項目については,口腔ケアシミュレータの一部が不完全であり,また,項目1の先進的なシミュレーション教育環境の視察が未実施であるため,現時点では着手できていない状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を推進する中で発生した大きな問題として,本研究にて使用してきた積層造型機が破損したことが挙げられる.特に,本造型機は保証および保守期限が切れているため無償・有償にかかわらず修復が不可能である.平成27年度はその代替として3Dプリンタや学外の造型機などを適用して推進してきたものの,その手法を確立するのに大きく時間をとられ,結果的に項目2および3との進捗に多大な影響をおよぼすことになり,平成28年度もその一部を継続して実施する必要が発生した.特に,技術的な問題としてブラッシングの検出に適用するセンサについての課題が発見されたため,平成28年度はセンサについての検討を実施し,引き続いて項目4に着手する予定である. また,項目1については米国の先進的なシミュレーション教育施設に視察予定であったが,彼我の日程が上手く調整できず,当該年度に実施できなかったため.今年度に実施する.項目5は,視察の結果を踏まえて実施する必要があるため,視察が終了し次第着手する予定である. これらの現状を踏まえ,今年度実施予定であった「6.口腔の教育シミュレータモデルとコンピュータをつないで自分で自己学習できる教材の作成」および「7.シミュレータモデルを使用して教育システムの効果検証(介入研究)」については実施困難であると考え,今年度は項目1から5までを完遂することを目標としたい.
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Causes of Carryover |
本研究にて使用してきた積層造型機が破損したことにより、平成27年度はその代替として3Dプリンタや学外の造型機などを適用して推進してきたものの,その手法を確立するのに大きく時間をとられ,結果的に項目2および3との進捗に多大な影響をおよぼすことになり,平成28年度もその一部を継続して実施する必要が発生した.特に,技術的な問題としてブラッシングの検出に適用するセンサについての課題が発見されたため,平成28年度はセンサについての検討を実施し,引き続いて項目4に着手する予定である. また,項目1については米国の先進的なシミュレーション教育施設に視察予定であったが,彼我の日程が上手く調整できず,当該年度に実施できなかったため.今年度に実施する.項目5は,視察の結果を踏まえて実施する必要があるため,視察が終了し次第着手する予定である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
項目1の米国の先進的なシミュレーション教育施設との調整が進んでいるため実施できる予定である.項目2-4についても、予算の範囲内で必要物品を揃え,平成28年度はセンサについての検討を実施し,引き続いて項目4に着手する予定である.項目5についても,視察後、作成予定である. 以上から、予算は計画的に執行できる予定である.
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Research Products
(1 results)