2015 Fiscal Year Research-status Report
終の暮しといのちを支えるホームホスピスの生活者のQOLとQODに影響を与える要因
Project/Area Number |
15K15903
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kyoto Medical Center |
Principal Investigator |
片山 知美 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究員 (30510812)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ホームホスピス / 実態調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、これまでに高齢者の生活の質(QOL)には、役割を持つことが重要であることを明らかにしてきた。しかし、ホームホスピスでは介護必要度や医療必要度が高く、洗濯物をたたんだり、食卓を拭いたりするといった役割を担うことができない人であっても、皆穏やかに幸せそうに暮らしている。ホームホスピスではこうした役割以外にQOLに影響を与えているものがあると考えられる。よって平成27年度は、先駆的にホームホスピスを立ち上げた宮崎、兵庫、熊本にある6か所の家の視察を行い、その後、ホームホスピスにおける満足度の高い支援体制の実態を明らかにするために全国に35か所あるホームホスピス(2015年12月現在)を対象に質問紙調査を行った。 その結果、15か所から回答を得た(有効回収率42.8%)。ホームホスピスの入居者数は平均5.1人で、昼間のスタッフ数は平均2.6人、夜勤スタッフは平均1.1人であった。入居者との関わりで大切にしていることでは、たとえ会話ができなくても視線やまばたき等からその方の思いを受け止める、ひたすら聴き寄添うなど「生活者に寄添う」、本人の暮らしぶりを大切にする、その方のこだわりを大切にする、入居者の今の状態や心理的なものを含め1人1人に合った日常生活を大切にするなど「これまでの生活やこだわりを大事にする」、希望されることはどうやったらできるかを考える、小さなことでも希望をかなえられるようにするなど「希望をかなえる」といったことを大切にしていた。また、入居者家族との関わりで大切にしていることでは、家族がいつでも来れる雰囲気を作る、泊まりたい時に泊まれる環境を作る、面会時間を制限しないなど「家の開放」、家族と一緒にケアをする、家族ができることはすべて行ってもらう、家族が来ている際は職員は一歩離れるなど「家族の力を生かす」といったことが大切にされていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全国6か所にあるホームホスピスの視察調査、全国35か所のホームホスピスを対象とした実態調査を行っており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に行った「ホームホスピスにおける満足度の高い支援体制に関する実態調査」において回答のあった日本のホームホスピス15か所において生活する者を対象とし、ホームホスピスで暮らす人々のQOLおよびQODに影響を与える要因を明らかにする。方法としては、PGCモラールスケールを用い自記式もしくは他記式で回答をえ、同時にのQOLおよびQODに影響を与える要因を明らかにするために半構造化面接を行っていく予定である。 現在、文献検討ならびに半構造化面接のためのインタビューガイド作成に向け高齢者や終末期看護、質的研究、質問紙作成などをそれぞれ専門とする研究者による話し合いを行う準備を行っている。また、倫理審査承認後、データ収集を行う予定で研究推進中である。
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Causes of Carryover |
1回の出張移動において多施設の視察調査を同時に行ったことで移動に関わる交通費ならびに宿泊費の削減が図れたため次年度の使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、昨年度の実態調査において訪問許可を得ている15か所のホームホスピスの生活者を対象に質問紙調査ならびに反構造化面接を実施する。よって、当初計画の通り、当研究者の交通費等移動に関わる費用が必要になる。また、本調査では、研究協力者を依頼する予定であり、協力者の交通費や謝礼が必要となる。その他、当初計画の通り面接データの入力作業費、分析のためのソフト購入、面接データの分析に関わるコンサルテーション費、学会発表や論文作成にかかわる論文校閲、学会参加費を必要とする。
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