2015 Fiscal Year Research-status Report
要介助者の能力発揮を支援する技術を向上させる手法の探求
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15K15905
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Research Institution | Kyushu University of Nursing and Social Welfare |
Principal Investigator |
中野 聡太 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 助教 (50615317)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 移乗介助 / 計測 / 客観化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,移乗動作中に要介助者が発揮している能力を明らかにするための計測システムを確立し,その運用により,介助者が要介助者の能力発揮を促進できるよう変容するための手法を明らかにすることである.そのうち,2015年度は計測システムを作製し,さらにAMTI社製床反力計を用いてシステムの校正を行うことであった. まず,要介助者と介助者の合算した下肢荷重量を数値化するために,4個のロードセル(共和電業社製LMB-A-2KN-P)を1枚のステンレス板に接着させた全床反力計測装置を作製した.そして,座位から足底に荷重が移った時点を明確にするために,4個のロードセル(共和電業社製LMB-A-2KN-P)を1枚のステンレス板に接着させた殿部床反力計測装置を作製した.次に,介助者の下肢荷重量を数値化するために,4個のロードセル(共和電業社製LMB-A-2KN-P)を1枚のステンレス板に接着させサイズの異なる靴型の計測装置(以下,フォースシューズ)を作成した.ロードセルの垂直成分値について,ユニバーサルレコーダー(共和電業社製)を介しパーソナルコンピュータへ取り込み,LABVIEW(National Instruments社製)にて計測装置ごとに加算するように設定した.さらに,要介助者の下肢荷重量を抽出するために全床反力計側装置の値とフォースシューズの値の差を求めるようにした. 1名の健常成人男性が静止立位を保った状態から模擬的に移乗介助動作(2.48秒間)をした際,床反力計とフォースシューズの差の平均は0.7±0.6kgであり,両計測装置の相関はr2=0.96であった.また,床反力計と全床反力計測装置の差の平均は1.5±1.1 kgであり,両計測装置の相関はr2=0.90であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フォースシューズと全床反力計側装置を作製し,床反力計を基準にこれらの妥当性を確認することができた.誤差は1kg前後あるものの,いずれも床反力計と高い相関を示すことがわかった.移乗介助動作時の立ち上がりなどのように大きな床反力値を示す場面での使用を考えた場合,これらの差の平均は許容できるものと考える.以上より,計測システムを運用する準備が整ったため,順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は,介助者が要介助者の能力発揮を促進できるよう変容するための手法を明らかにしていく.1名の健常成人に股関節装具を装着させ,自力では立ち上がり動作が困難な状態に設定する(以下,模擬高齢者).介助者を対照群,デモ見学法群,模倣高齢者支援体験法群の3群に20名ずつ分け,模擬高齢者の移乗介助を行ってもらった時に模擬高齢者が発揮した床反力垂直成分を計測する.その後,2名の理学療法士が模擬高齢者の評価を行い,模擬高齢者の能力発揮を促す支援方法を提案する.デモ見学法群は理学療法士が模擬高齢者に対して行う移乗介助のデモンストレーションを見学する.その際,理学療法士は提案した支援方法のポイントを介助者に提示する.模倣高齢者支援体験法群は模擬高齢者を模倣した理学療法士の移乗介助を実践して体験する.その際,デモ見学法群と同様に理学療法士が支援のポイントについて提示する.介助者のデモ見学もしくは模倣高齢者支援体験が終了した後に,模擬高齢者の移乗介助を行ってもらい,模擬高齢者が発揮した床反力垂直成分を計測し,介入前後の比較を行う.
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Causes of Carryover |
2015年度の実支出額の大半を物品費が占めた.交付決定額を考慮した上で,計測システムを構築するために現有物品を再利用し,購入する物品を見直した.概ね予算内に収まったが,567円の次年度使用額が生じることとなった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度は,データ収集,成果発表が主となる.従って,主に謝金,成果発表旅費,英文校正費,論文投稿費を賄うために,同年度の助成金と合わせて使用する計画である.
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