2016 Fiscal Year Research-status Report
生涯にわたる生活習慣予防に向けた早期支援プログラムの開発
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15K15924
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
赤堀 八重子 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 助教 (30700124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 基 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 教授 (30258884)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / 早期支援 / プログラム開発 / 乳幼児健診 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、早期の段階から生涯にわたる生活習慣病予防の系統的な支援を行うことにより、生活習慣病の発症予防を図ることを目的とする。研究の第1段階ではA町の20歳~65歳未満の住民3,510人を対象に質問紙調査を実施した。データ収集項目は対象者の基本属性及び健康観とした。健康観については、健康の判断基準、生活行動に関する保健行動の優先性尺度、HLC尺度、生きがい意識尺度、自分らしさ行動特性尺度を用いた。質問紙の回収は845人(回収率24.1%)であり、欠損値を除く843人を分析対象とした。健康の判断基準では身体的健康や社会的健康を重視する人が多かった。各尺度得点を年代別にみると、HLC尺度では30歳代の得点が低く(P=0.005)、外的統制傾向が強い傾向にあった。自分らしさ行動特性尺度では若年層ほど得点が高く(P=0.000)、自分や相手の気持ちを大切にし、意見を積極的に発言する傾向にあった。生活行動に関する保健行動の優先性尺度では、60歳代が最も得点が高く保健行動を優先する傾向が強かった(P=0.000)。生きがい意識尺度では、20歳代と他の年代との間に有意差がみられ(P=0.001)、20歳代は自分の未来に対して積極的で肯定的な態度が強い傾向にあった。 これらの結果から、20歳代及び30歳代の若年層では、保健行動に対して消極的であり、予防的な視点からの健康の捉え方をしていないが医療従事者に依存しやすく、意見を取り入れる姿勢があることが明らかになった。従って、予防的な視点からの健康観を形成するために若年層から保健指導を開始することが効果的であると考える。また、A町の住民は現在の身体及び精神的な状態から健康を判断する者が多い傾向にあり、予防的な視点からの健康観の形成に向け、各年代の実態を踏まえた継続的な保健指導が必要である。第2段階ではこの結果を基に早期支援プログラムを開発する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究の進捗状況として、現在は、研究の第2段階に用いる早期支援プログラムを作成している。当初の研究計画では、平成28年度においては、研究フィールドの乳幼児健診児の保護者を対象として、早期支援プログラムを用いて介入を行う予定であった。しかし、研究フィールドの確保及び研究の第1段階における質問紙調査の実施に遅れが生じ、現時点では早期支援プログラムによる介入を実施していない状況である。早期支援プログラムは内容を吟味することが重要であるため、今後も引き続き十分に検討を行う予定である。早期支援プログラムの完成は、平成29年10月頃を目標としており、その後、介入を実施する計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年10月までに生活習慣病予防に向けた早期支援プログラムを作成し、研究フィールドにおいて介入を行う予定である。早期支援プログラムの枠組みはトランスセオレティカルモデルの理論を用いて作成し、現在は、具体的な指導方法を検討している。また、プログラムの作成に当たっては、平成29年8月下旬に専門家会議を開催し、プログラムの妥当性を検討する。早期支援プログラムの介入は、対象者を確保するために、研究フィールドの乳幼児健診の場において実施する。3か月児、6か月児、1歳児健診の場においては、保護者を対象としてパンフレットの配布および健康教育等のプログラムに基づく介入を行う。1歳6か月児、2歳児においては、パンフレットの配布を行う。3か月児から1歳児健診の期間には、3か月~4か月おきに繰り返して健康教育等の介入を行い、生活習慣病に関する知識を深めるとともに、行動変容の動機づけになると考える。また、その後の健診においても、パンフレットを配布することを通して、さらに早期からの生活習慣病予防の意識が高められるよう介入を行う。 当初の研究計画と比較し、進捗状況が遅れているため、プログラムによる介入時期を平成31年度3月までに延長し、早期支援プログラムの有効性を検証する予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度においては、質問紙調査のデータ入力代や早期支援プログラムの印刷代(パンフレット等)を計上した。しかし、平成28年度で使用したものは、質問紙調査のデータ入力代のみであり、早期支援プログラムの印刷代は平成29年度に再度計上することとなった。次年度使用額が生じた理由としては、質問紙調査の実施及びデータ分析に遅れが生じたことにより、平成28年度内に早期支援プログラムを完成することができず、印刷を行えなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、早期支援プログラムの印刷代(パンフレット等)、早期支援プログラムの妥当性を確認するための専門家会議に出席を依頼した専門家に対する謝金、研究フィールドへ出向く際の旅費及び研究成果を学会(日本公衆衛生学会等)で発表するための旅費を使用する予定である。
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