2015 Fiscal Year Research-status Report
ピアエデュケーションを用いた放射線リスクコミュニケーションプログラムの開発と評価
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15K15925
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Research Institution | Nihon institute of Medical Science |
Principal Investigator |
山岸 貴子 日本医療科学大学, 保健医療学部, 講師 (60520773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 重己 日本医療科学大学, 保健医療学部, 教授 (40626842)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放射線 / リスクコミュニケーション / 大学生ピアエデュケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
福島第一原子力発電所の事故を経験し、放射線防護について国民全体で認識を共有することが復興を助ける力になることは明らかである。そのためには、福島県のみならず、福島県以外に在住する若い世代が原子力や放射線に関する知識を科学リテラシーとして身につけ、自ら判断し、放射線防護の行動を理解することが必要であり、さらに発信していくことが望まれる。 本研究は、福島県以外に在住する大学生の放射線への理解や放射線防護への関心を高めることを目指し、同世代で学び合うという感覚を持てることやメッセージの伝わりやすさがあることからピアエデュケーションという方法を用いて、放射線リスクコミュニケーションを行うためのプログラムを作成し実施、評価することを目的としている。 研究計画としてピアエデュケーションの内容を検討のために、インタビューや質問紙調査で把握し検討するとしている。平成27年度には、インタビューや質問紙によって大学生の放射線の知識、関心、認識や必要としている情報などを把握することを計画していたため、質問紙調査の項目を選択と質的データをえるために、まずグループインタビューを6名1グループで2回実施した。結果として、男女の性別によって大学生がもつ放射線への関心、知識、認識は異なり、それに影響を与えているであろう要因にも差異があった。また求めている情報や伝達方法にも差異があることを把握した。 現在は、グループインタビューの結果を質的データとしてまとめているのと同時に、質問紙調査に向けて質問項目の選択や、調査方法の検討を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度には、ピアエデュケーションのプログラム検討のために、大学生の放射線に対する知識や認識を把握するという計画であった。当初は、専門的な知識を持つ大学生を対象にデルファイ法を用いる予定であったが、対象者の把握や協力が難しく、一般の大学生が必要としている情報や知識、認識を把握することでも内容として可能であると判断したためグループインタビューに変更し、質問紙調査の項目の選定を行うように順序を変更した。 そのため、グループインタビューの検討として、9月、10月で打ち合わせを行い、対象選択とインタビュー項目の精査を行い、12月に調査を行っている業者に登録している首都圏に在住の大学生をリクルート、2月に6名1グループで2回の約90分のインタビューを実施した。現在、インタビューでの成果を質的データとしてのまとめを行っており、並行して質問紙調査の項目の抽出と方法の検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は、インタビューでの成果を質的データとしてのまとめを行っており、並行して質問紙調査の項目の抽出と方法の検討を進めている。平成28年度には、大学生を対象とした質問紙調査を行い、プログラムの内容を検討することと、また、並行してピアエデュケーションでのエデュケーターとなる大学生に対し、放射線の基本的な知識について講義や演習を行うことを計画している。調査では100名から200名の回答が欲しいため、郵送方法以外での調査方法の検討をしている。そして、エデュケーターの養成の内容の中で、当初の計画では、基本的知識の伝達の方法としてカードゲーム「カルテット」の指導方法も習得するとしていたが、インタビューを行い、性別による差が大きいことなどから、プログラムの中で情報の伝達方法としてカードゲーム「カルテット」を用いるかどうかということも検討しており、知識をそのまま伝えるという方法だけではなく、体験型を取り入れることも必要であるということから、放射線を知るための簡単な実験、演習を取り入れることを検討している。
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Causes of Carryover |
平成27年度の計画として、質問紙調査を挙げており、そのための予算を計上していたが、計画を変更、進行がやや遅れたため質問紙調査が実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の計画として、質問紙調査を実施することである。質問紙調査の方法は、郵送式またはインターネットを用いた方法を検討しているため、郵送費または、webページ作成依頼として使用する。次に、大学生をエデュケーターとして養成するために、講義、演習で使用する教材の購入、講師への謝礼等に使用する。さらに、平成27年度に実施したインタビュー調査の結果をまとめ、学会で発表するためのポスター作成や交通費に使用する予定である。
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