2017 Fiscal Year Research-status Report
産業看護診断とエスノグラフィを用いた中小企業文化の解明による健康格差縮小への寄与
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15K15926
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Research Institution | Japan University of Health Sciences |
Principal Investigator |
池田 智子 日本保健医療大学, 保健医療学部看護学科, 教授 (50341938)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 職場文化 / 健康行動 / 中小規模事業場 / 職場改善 / 参与観察 / フォーカス・グループ・インタビュー / 個別インタビュー / MMR |
Outline of Annual Research Achievements |
社会格差と健康水準に関する多くの研究はアンケート調査で行われ、社会経済的変数が広く質問紙に含まれるかどうかに依存するが、これらの調査項目は対象者にとって抵抗感があり、無回答率が高いというジレンマが存在してきた。この困難を解消するには、大規模なデータ収集により客観性を高めることだが、本研究はその考え方を180度転換し、マイクロな眼ではじめて見えてくる世界を重視してみた。本研究は、中小企業労働者が働いている現場において職場文化を観察し、そこから、健康に影響を与えている要因を丁寧に探り出し、健康格差縮小への寄与を目指すものである。 3事業場の協力を得て、それぞれに、職場診断、従業員への個別インタビュー、衛生委員会や朝礼における参与観察、管理職へのフォーカス・グループ・インタビュー、職場改善実施、ならびにアンケート調査を3年間継続して行った。初年度のアンケート調査のみでは見えなかった問題が、徐々に浮彫りになり、対象への長期間の深い関わりと、複数の研究者の感じる主観を議論することの重要性が示唆された。 平成30年5月19日には、北京で開催された「第三回日中高齢化社会政策と産業化シンポジウム――清華大学科学技術と社会発展論壇――」にて招聘を受け、日本の健康政策のめざす方向と、介護産業の現状や職場文化について講演した。また中国の健康課題と、今後の政策、健康関連産業についての知見も得た。 本研究の介入は各事業場の都合に配慮して進めていく必要があり、対象3事業場の進行度はまちまちであるが、3事業場とも平成30年度も引き続き協力の意向を示してくれたため、研究期間を1年延長し、質的および量的データの収集を続けることとした。本年はまた、データを分析し、中小企業の健康支援策を考案し、論文にまとめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長期間に亘る介入・実践研究であるが、対象事業場との信頼関係が確立し、順調に進められている。しかし日程は事業場の都合を配慮しなければならないため、3事業場の進捗状況はまちまちである。また一方、データ分析の時間はほとんど取れておらず、まとめの机上作業が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
介入は各事業場の都合に配慮して進めていく必要があり、対象3事業場の進行度はまちまちであるが、3事業場とも研究継続の協力が得られたため、研究期間を1年延長して引き続き介入・実践研究を行う。
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Causes of Carryover |
3事業場から研究協力が得られ、それぞれ職場診断と事前アンケートならびに従業員への個人面談を行い、職場改善活動に取り組んで頂いた後に変化を観察している。 各事業場の日常業務の妨げにならぬよう対象者のペースに沿って進めているため、この一連の介入が、事業場によってまちまちの段階である。 次年度も引き続き全対象事業場の研究協力が得られたため、引き続き量的・質的データの収集を継続し、分析結果を学会に発表する。研究費の残額は、このための交通費、謝金、英文校閲費、消耗品費等に充てる。
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Research Products
(2 results)