2017 Fiscal Year Research-status Report
フラッシュメモリのための制約符号,およびその性能評価
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15K15936
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
眞田 亜紀子 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (20631138)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フラッシュメモリ / 制約符号 / バランス制約 / 周期的な制約を含むシフト |
Outline of Annual Research Achievements |
29年度はフラッシュメモリに適した符号化として,まずバランス制約(データ中の0と1の数が等しい制約)を課した符号に着目した.具体的には,バランス制約とデータのラン長制約を兼ね備えた符号の最大符号化率を,組み合わせ論の観点から考察した.その結果,ラン長制約にバランス制約を加えたとしても,ラン長制約のみの場合と比較して最大符号化率に変わりがないことを証明した.制約を兼ね備えた場合の最大符号化率は,一般的にその制約を表現するグラフの隣接行列の最大固有値から求められるが,バランス制約の場合には表現するグラフがないため上記の方法が使えない.しかし今回の結果から,グラフ表現があるラン長制約を用いて,バランス制約を兼ね備えた場合も容易に最大符号化率が求められることがわかる.この結果は情報理論のトップコンファレンスであるIEEE International Symposium on Information Theoryにおいて発表した.現在は,その結果をさらに拡張して論文にまとめる作業を進めている.
また,フラッシュメモリの各セルに保存されているデータから次に保存できるデータも制約されるため,セルの時系列制約は異なる.この点に着目し,周期的な制約を兼ね備えたPeriodic-Finite-Type Shift(PFT) を用いて,フラッシュメモリに一般的なデータ列制約と時系列制約が与えられた場合の符号化率について基礎的な解析も行った.この結果は,ドイツとアメリカで行われた国際ワークショップで発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ISITで発表したバランス制約とラン長制約を兼ね備えた場合の明確な最大符号化率は,シンプルな数え上げ法を元にしているが,非常に綺麗な形にまとまった.またPeriodic-Finite-Type Shiftについても新たな観点からのアプローチとして提案できた.特にPFTについては博士課程時代に知識を得ていたため,その応用としてフラッシュメモリが考えられたのは,さらなる研究視野の拡大につながった.
このように,基礎的な解析について様々な結果やアプローチを提案することに貢献できたため,当初の目的に向けて一歩ずつ着実に前進していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度として,これまでのまとめを積極的に行う.国際会議で発表を重ねるとともに,これまでの研究成果をまとめてIEEE Transactions on Information Theoryなど情報理論でインパクトファクターの高い論文に投稿する.特に今年度(2017年度)にISIT2017で発表したバランス制約に関する論文は理論的結果もまとまっており,査読者の評価も非常に高かったため,迅速に論文としてまとめて投稿したい.
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Causes of Carryover |
今年度は国際会議で発表する機会が多かったが,同じ国で同時期に開催されたことがあり,そのために航空券代に余裕が出たことが大きかった.来年度はこの予算を国際会議への参加や論文投稿の費用として有効に利用していきたい.
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