2015 Fiscal Year Research-status Report
錐制約をもつ半無限計画問題に対するアルゴリズムの高速化と諸問題への応用
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15K15943
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
奥野 貴之 東京理科大学, 工学部, 助教 (70711969)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 半無限計画法 / 2次錐計画問題 / 交換法 / ホットスタート |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度における研究実績としての研究実績は(*1)「半無限計画法に基づいた2次錐計画問題に対する双対単体法の拡張」と(*2)「凸半無限計画問題に対する新しい交換法の提案」の二つが挙げられる. まず(*1)に関してであるが, ここでは2次錐とよばれる集合を制約条件の中に含んだ2次錐計画問題(SOCP)に対して半無限計画法に基づいた手法を提案した. 具体的には, 2次錐制約を無限個の線形不等式として表現することでSOCPを線形な半無限計画問題(LSIP)として再定式化し, LSIPに対する既存手法である双対単体法を適用し, いくつかの数値実験を行った. その実験の一つとして, 問題データが少しずつ変化するような問題列に対して提案手法を逐次的に適用した. さらに, 直前の問題の最適解を初期点とすることを2番め以降のすべての問題に対して行った結果, 任意の点を初期点として選んだ場合に比べて計算時間や反復回数が著しく減少する所謂ホットスタート効果が見られた. SOCPに対してホットスタート効果のある手法を開発した意義は大きく, それは錐制約もつ半無限計画問題を主眼とする本課題においても同様である. (*2)では, 凸半無限計画問題(CSIP)に対する手法の一つである交換法の改良版を提案した. 交換法とは, 無限個の制約から適当なルールで選んだ有限個の制約をもつ最適化問題を部分問題として逐次的に解く手法である. 本研究では,元問題の実行可能領域により近い形状をもった実行可能領域をもつ部分問題を新たに提案した. この手法も本課題の問題に対して直接適用可能であるという意味で重要である. 両研究(*1)(*2)も, 論文としてまとめ, Optimization Methods and Sofrwareに提出, 採択済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標は, 半正定値錐制約をもつ半無限計画問題に対するアルゴリズム開発が主な目標であった. アルゴリズムの具体的な開発はおわり, アルゴリズムが生成する点列が最適解に収束することを証明した. その結果は, 国際学会, 国内学会を通して発表をしており、現在論文を執筆投稿準備中である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後, 推進していきたいのが1)提案したアルゴリズムの理論的な性質の発見, 2)数理モデルの応用先の探求があげられる. まず,1)であるが, 初年度で生成した点列の最適解への大域的収束性の解析はすんでおり, 次の課題が速い収束性の達成である. すでに行った数値実験により, アルゴリズムの中のパラメータの調整の仕方によっては, 最適解へ収束するための反復回数が著しく異なることを確認している. 過去の研究を参考にしながら, 更なる数値実験を通してより具体的かつ普遍的な調整方法を探求していきたい. 次に2)についてであるが, 錐制約をもつ半無限計画問題の実世界の応用先の調査である. すでにフィルター設計問題や行列の最小固有値を求める問題が重要な応用先としてあるものの, その数としては十分ではない. 各分野の研究者との交流を通して, 新しい応用先を開拓していきたい.
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Causes of Carryover |
当該助成金が生じた理由としては, 謝金支出額が予算額よりも僅かに下回っていたことがある. これは, 当該年度における研究遂行に関して謝金を要さない研究打合せ, 情報交換を行ったことに依存しており, 計画遂行にまったく支障はなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述したように研究計画を遂行する上で使用計画に今のところ問題はないと考える. したがって, 翌年度の使用計画としては, 当初の計画とおりに遂行していくつもりである. 当該年度の残余分は謝金ではなく, 実際の予算よりも支出が大きかった物品費用に回す予定である.
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Research Products
(5 results)