2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15945
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
安藤 映 崇城大学, 情報学部, 助教 (20583511)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | #P-困難問題 / FPTAS / n次元多面体の体積 / 近似アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
計画の一年目に当たる平成27年度中は、ナップサック多面体の体積に対するFPTASを拡張し、別のチャレンジングな問題に対する解法へつなげることを目的として研究を行い、査読付き国際会議に投稿して論文査読中である。まずOrder Polytopeの体積に対するFPTASを得られるかどうか検討を行ったが、ナップサック多面体とOrder Polytopeの間にあるギャップは当初よりも大きな課題があることに気が付いた。このため、計画にある通り別の#P-困難な問題に対して冒頭のアルゴリズムを拡張することを目指し、次の#P-困難問題に対するFPASを得ることができた。今回考える問題はn次元のcrosspolytopeに対して任意の1点aを加え、その凸包である多面体の体積である。この問題の#P-困難性はKhachiyanによって証明されているが、今回の研究成果として初のFPTASを見つけた。この結果を論文にまとめ、現在のところ論文査読中である。
今回の問題となる多面体には名前を提案する文献が見つからなかったため、本報告では「幾何双対ナップサック多面体」と呼ぶことにする。今回見つかったアルゴリズムは、crosspolytopeを等比で縮小したものを点aに向かって無限に並べた階段で近似する手法である。そして、階段の1段の体積を近似計算することによって、幾何双対ナップサック多面体の体積を近似する。この解法を論文にまとめる際に、二つのn次元crosspolytopeが重なる部分の体積を求める問題もまた#P-困難であることが分かり、新たに見つかった#P-困難問題に対してFPTASが存在することも示せた。なお、二つのcrosspolytopeの重なり部分の体積を近似計算するのにナップサック多面体の体積を近似するアルゴリズムとよく似た工夫を用いる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目標としたOrder Polytopeの体積の近似には想定したよりも大きな困難があることがわかり、対象とする問題を変更したものの、今まで近似アルゴリズムが知られていなかった#P-困難問題に対し、FPTASを与えて国際会議に論文投稿までできた(現在査読中)。また、国内の研究会ではすでに研究発表を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成27年度中に得られた研究結果を拡張しつつ、当初計画のOrder Polytopeの体積を近似できる場合について研究を進める。研究結果の拡張としては、crosspolytopeに複数点を追加してその凸包として得られる多面体の体積に対するFPTASを考える。また、Order Polytopeの体積については、Order Polytopeを定義する有向非巡回グラフのpathwidthが定数kで与えられるときに、その体積をできるだけ高速に近似できるようなアルゴリズムを考える。これらの課題に大きな困難が見つかった場合には、別の#P-困難問題についてFPTASを提案できるかどうか考察を行う。
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Causes of Carryover |
国内旅費および物品の購入費用の端数として2,316円の次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の消耗品の購入に充てる。
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Research Products
(2 results)